証券外務員の難易度と合格率|一種・二種の合格ライン

Photo by Pixabay on Pexels

証券会社や銀行への就職・転職が決まり、「証券外務員の資格を取ってください」と言われて難易度や合格率を調べている人は多いはずです。日本証券業協会の公表では、2025年度の一般受験者の合格率は一種73.1%、二種68.1%でした。3人に2人以上が受かる試験ですが、配点の仕組みを知らずに臨むと計算問題でまとめて失点し、合格ラインに届かないケースもあります。この記事では公式データと配点から合格ラインを逆算し、一種と二種の差、必要な勉強時間まで具体的に整理します。

たとえば元アパレル販売員の佐伯真奈さん(29歳)は、転職活動中に一般受験で二種を約65時間の学習で取得し、内定後に一種へ進みました。ところが一種の1回目は正答率67%で不合格となり、30日の待機期間を経た再受験で正答率75%を取って合格しています。佐伯さんがどこでつまずき、どう立て直したかも交えながら読み進めてください。

※ここで紹介する佐伯さんの体験は、複数の学習者の声をもとに構成した架空のケースです。

証券外務員の合格率は一種73.1%・二種68.1%(2025年度)

試験を実施する日本証券業協会は、外務員資格試験のページで一般受験者の受験者数と合格者数を公表しています。直近2年度の結果は次のとおりです。

年度 区分 受験者数 合格者数 合格率
2025年度 一種 7,408名 5,418名 73.1%
2025年度 二種 3,753名 2,557名 68.1%
2024年度 一種 6,903名 5,038名 73.0%
2024年度 二種 4,268名 2,751名 64.5%

出典:日本証券業協会「外務員資格試験」試験結果(一般受験者)。2年度とも一種のほうが二種より合格率が高く、範囲が広い一種のほうが受かりやすいように見えます。一種の受験者には二種合格者や金融機関の実務経験者が多く含まれるためで、試験そのものが易しいわけではありません。二種の合格率は64〜68%で、受験者のおよそ3人に1人は不合格になっている計算です。

「合格率7割」を額面どおりに受け取らない

合格率が7割前後と聞くと、少し勉強すれば受かる試験に思えるかもしれません。ただ受験者の中には、金融機関に入社・内定して会社から教材や研修を与えられている人が少なくありません。学習環境が整った人を多く含む集団での7割だと考えると、独学で準備時間が限られる人にとって楽観できる数字ではないでしょう。佐伯さんも二種の合格率を見て「1か月あれば十分」と考えていましたが、最初の模擬試験は正答率58%にとどまり、学習計画を2週間延ばしています。

証券外務員試験の仕組みと合格ラインを配点から逆算する

person taking exam on computer in test center

外務員資格試験はテストセンターのパソコンで解答する方式で、プロメトリックの会場で随時受験できます。予約は受験日の60日前から5営業日前まで受け付けており、試験が終わるとその場で画面に正解率が表示されます。出題形式は○×方式と五肢選択方式の2種類で、両者の配点が大きく異なる点が試験の難しさを左右します。

一種・二種の出題数と配点

協会が公表している試験概要を整理すると、次のようになります。○×方式は1問2点、五肢選択方式は1問10点(五肢択二は各5点)です。

  • 一種:○×70問(140点)+五肢選択30問(300点)=440点満点、合格は308点以上、試験時間2時間40分
  • 二種:○×50問(100点)+五肢選択20問(200点)=300点満点、合格は210点以上、試験時間2時間

どちらも満点の7割が合格基準で、問題数では○×方式が7割を占めます。一方で点数の比重は逆転し、五肢選択方式が一種で約68%、二種で約67%を占めます。五肢選択の1問は○×の5問分に相当するため、計算問題を含む五肢選択でどれだけ取れるかが合否を分けます。

五肢選択で何問まで落とせるか

二種の場合、○×を50問中40問(80点)正解したとすると、残り130点を五肢選択で取る必要があります。20問中13問の正解が条件で、落とせるのは7問までです。○×で45問(90点)取れれば、五肢選択は12問正解で210点に届きます。○×の上積み5問分が、五肢選択1問分の余裕に変わるイメージです。

一種では、○×を70問中56問(112点)正解した場合、五肢選択で196点が必要です。30問中およそ20問分の得点が求められ、落とせるのは10問分ほどしかありません。○×は8割取れる人が多い一方、五肢選択の計算問題で6割を切ると一気に不合格圏に入ります。勉強時間を配分するときは、問題数ではなく点数の比重に合わせて五肢選択の対策を厚くするのが近道です。

証券外務員一種と二種の難易度の違い

二種で扱えるのは株式・債券・投資信託などの現物取引が中心です。一種になると信用取引やデリバティブ取引(先物・オプション)まで勧誘できるようになり、試験範囲もその分広がります。外務員の登録は金融商品取引法第64条に基づく制度で、登録区分によって扱える商品が法律上決まっています。

一種で増える範囲は信用取引とデリバティブ

一種の追加範囲で受験者が苦戦するのは、オプション取引の損益計算と信用取引の委託保証金の計算です。オプションは権利行使価格やプレミアムの関係を図で理解していないと、問題文の条件を読み替えられずに手が止まります。佐伯さんが一種の1回目で落としたのも、オプションの損益計算と保証金維持率の問題でした。二種合格者でも、この2分野は新しく覚え直すつもりで取り組む必要があります。

他の資格と比べた難しさ

金融系の入門資格と比べると、二種はFP3級や簿記3級と同じく「初学者が1〜2か月で狙える」水準に入ります。宅建士のように合格率が10%台の試験と比べれば、ハードルは明らかに低いです。ただし外務員資格は金融機関で営業するための必須資格という性格が強く、高い合格率は「受かるべき人が準備して受けている」結果でもあります。一種は計算問題の比重が上がる分、二種より1段階上の難しさと考えておくと計画を立てやすくなります。

Photo by MART  PRODUCTION on Pexelsあわせて読みたいFP3級の難易度と合格率|団体別の差と落ちる人の特徴FP3級の合格率と難易度を団体別に比較し、落ちやすい人の特徴を解説しています

合格に必要な勉強時間の目安

stock market chart on laptop screen

日本証券業協会は勉強時間の公式な目安を示していません。以下は市販教材の構成や合格者の体験談から見た目安で、金融知識の有無によって必要時間は大きく変わります。

  • 金融未経験で二種を受ける:50〜80時間(1日1.5時間で6〜8週間)
  • 二種合格者が一種へ進む:40〜60時間(追加範囲と計算問題が中心)
  • 金融未経験で一種を直接受ける:80〜120時間
  • 金融機関での実務経験やFP2級がある:上記より短くなる傾向

佐伯さんは二種に約65時間、一種の1回目に約45時間、再受験までに約25時間をかけました。一種の合計は約70時間で、二種合格者向けの目安を上回る結果です。二種の独学スケジュールを科目別に組みたい人は、証券外務員二種の独学勉強法で週ごとの進め方を紹介しています。

Photo by Zen Chung on Pexelsあわせて読みたいFP2級の難易度と合格率は?団体・科目別データで徹底比較FP2級の難易度と合格率を団体・科目別のデータで確認できます

佐伯さんが一種で一度落ちた理由と立て直し方

佐伯さんは二種合格の勢いのまま、一種の対策を約5週間・45時間で済ませて受験しました。結果は正答率67%で、点数に直すと約295点です。合格ラインの308点まで13点、五肢選択にして1〜2問分の不足でした。試験後に振り返ると、○×方式は8割以上取れていたものの、オプションと信用取引の計算問題を中心に五肢選択で失点が重なっていました。

不合格の場合は受験日の翌日から30日間は再受験できないため、佐伯さんはこの期間を計算問題の集中対策に充てています。問題集の計算問題だけを抜き出して1日10問ずつ解き、間違えた問題は解法の手順をノートに書き出しました。オプションの損益は「買い手・売り手」「コール・プット」の4パターンを図にして覚え、本番では図を思い浮かべてから計算に入るようにしたそうです。

2回目は正答率75%(約330点)で合格し、入社後の研修では一種保有者として信用取引の説明も任されるようになりました。佐伯さんは「1回目は○×の手応えに安心して、計算問題の練習量が足りていなかった」と振り返っています。一度落ちても弱点がはっきりすれば、次の30日で十分に挽回できる試験です。

不合格になりやすい3つのパターン

○×方式だけで点数を稼ごうとする

○×方式は問題数が多く、テキストを読めば正解できる問題も多いため、ここで点を稼げば合格できると考えがちです。しかし二種で○×を満点にしても100点で、合格に必要な210点の半分にも届きません。五肢選択の計算問題を後回しにした人ほど、本番で時間も点数も足りなくなります。

法令の数字と期限を曖昧なまま覚える

法令・諸規則の分野では「○営業日以内」「○%以上」といった数字の違いを問う問題が多く出ます。似た規定の数字を混同すると、○×でも五肢選択でも同じ論点で連続して失点しがちです。数字が出てくる規定は一覧表にまとめ、試験直前の1週間で繰り返し見直すと取りこぼしを減らせます。

模擬試験を本番の時間で解いていない

一種は2時間40分で100問、二種は2時間で70問を解きます。時間に余裕があるように見えますが、計算問題で1問に5分以上かけると見直しの時間がなくなります。本番と同じ時間で模擬試験を最低2回は解き、計算問題に使える時間の感覚をつかんでおくと当日に焦りません。

証券外務員の難易度・合格率に関するよくある質問

一種と二種はどちらから受けるべきですか?

会社から一種の取得を求められていて、学習時間を2〜3か月確保できるなら、最初から一種を受けても構いません。一種に合格すれば二種の業務範囲も扱えるため、二種を別に取る必要はありません。金融の知識がまったくない場合や、まず早く資格を1つ取りたい場合は、二種で基礎を固めてから一種へ進むほうが挫折しにくくなります。

不合格になったらすぐに再受験できますか?

不合格の場合、受験日の翌日から30日間は再受験できません。この期間は試験終了時に表示される正解率と、手応えのなかった分野を照らし合わせて弱点を洗い出すのに使えます。予約は受験日の60日前から受け付けているため、待機期間が明けた直後の日程を早めに押さえておくと学習の間延びを防げます。

金融商品取引業基礎試験の合格者に受験料の返還はありますか?

日本証券業協会は、2025年11月に廃止された金融商品取引業基礎試験の合格者を対象に、受験料の一部を返還する案内を出しています。2026年1月から12月までに一般の外務員資格試験を受験した場合、3,000円(税込)が1回に限り返還される仕組みです。対象の条件や申請方法は、日本証券業協会の外務員関連ページで最新の案内を確認してください。

まとめ

証券外務員の合格率は2025年度で一種73.1%、二種68.1%と高めです。ただ満点の7割という合格基準と五肢選択に偏った配点を考えると、計算問題の出来が合否を決める試験だといえます。二種なら五肢選択20問中12〜13問、一種なら30問中20問分の得点を目標に、勉強時間の配分を決めてください。

勉強時間の目安は、未経験から二種で50〜80時間、二種合格者が一種へ進む場合で40〜60時間です。佐伯さんのように一度つまずいても、30日の待機期間を計算問題の集中対策に使えば立て直せます。受験日を先に予約し、そこから逆算して学習計画を組むところから始めてみてください。

この記事についてお問い合わせ →