二級建築士の受験資格は?実務経験なしで受けられるか解説

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「工業高校で建築を学んだだけで、二級建築士の受験資格はあるんだろうか」。二級建築士事務所で働く田中まどかさんも、実務経験7年を経て受験資格を得るまで、同じ不安を抱えていた一人だ。

※本記事で紹介する田中まどかさんの体験談は、複数の合格者の声をもとに構成した架空のケースです。

学歴によって扱いが違ううえ、2020年の建築士法改正で条件が変わった影響で、ネット上の情報が新旧混在しているのも不安を後押ししている。

二級建築士の受験資格は「学歴」か「実務経験」で決まる

architecture blueprint desk workspace

二級建築士の受験資格は、建築士法第15条で「学歴」または「実務経験」のいずれかを満たすことと定められている。国土交通大臣が指定する学校(大学・短期大学・高等専門学校・専門学校・高等学校など)で指定科目を修めて卒業していれば、勤務経験がなくても受験できる。指定科目を修めた学校を出ていない場合や、建築とは異なる分野を学んだ場合は、7年以上の建築実務の経験を積むことで受験資格を得られる。

たとえば意匠設計の製図や構造力学、建築法規など、建築士法施行規則が定める科目群を、学校区分に応じた単位数以上修得している必要がある。指定科目や必要な単位数の詳細は、学校区分ごとに細かく定められているため、卒業した学校が対象かどうかは建築技術教育普及センターの公式ページで確認するのが確実だ。

学歴ルート:指定科目を修めて卒業すれば実務経験なしで受験できる

学歴ルートに該当する場合、経験年数がゼロでも二級建築士試験を受験できる。対象となる学校は大学・短期大学・高等専門学校(高専)・専門学校・高等学校と幅広く、いずれも国土交通大臣が指定する建築関係の科目を一定数以上修めて卒業していることが条件になる。

たとえば工業高校の建築科や、大学・専門学校の建築系学科で指定科目を必要数以上修めて卒業していれば、卒業と同時に受験資格を得られる。指定科目の一部しか履修していない場合は学歴ルートの対象外となるため、卒業した学校のカリキュラムが指定科目に対応しているかを在学中に確認しておくと安心だ。

ここで見落としやすいのが、2020年の法改正によって実務経験の位置づけそのものが変わった点だ。詳しくは後述する。

実務経験ルート:学歴が建築系でなくても7年の実務経験で受験資格を得られる

建築系の学校を卒業していない場合や、指定科目を修めずに卒業した場合でも、7年以上の建築実務の経験があれば二級建築士の受験資格を得られる。経験年数は、最終学歴の卒業日から学科試験前日までを通算して数える。転職で複数の勤務先を経験していても、建築に関する実務に従事した期間を合算できるため、同じ会社に7年間勤め続ける必要はない。

ただし、どんな業務でも実務経験として認められるわけではない。設計事務所での図面作成や、施工管理の現場監督業務は対象になりやすい一方、営業や事務作業のみに従事していた期間は原則としてカウントされない。具体的には、施工管理・設計補助・工事監理の現場業務などが該当し、建築に直接関わる実務かどうかが判断の分かれ目になる。次章で紹介する2020年改正で対象範囲は広がったが、線引きは今も存在する。

田中さんは実務を積みながら学科試験の対策を独学で進めた。平日は仕事を終えてから1日1時間、休日は3時間ほどを目安に、総合資格学院の二級建築士学科試験対策テキストと過去7年分の過去問題集を繰り返し解いた。「最初は建築法規の科目でずっと点数が伸びず、過去問を条文に立ち返って解き直す作業を3周してようやく合格ラインに届いた」と田中さんは振り返る。

2020年(令和2年)の建築士法改正で何が変わったのか

実務経験は「受験前」ではなく「免許登録まで」でよくなった

令和2年3月1日施行の建築士法改正で、最も大きく変わったのが実務経験のタイミングだ。改正前は試験を受ける前に必要な経験を積んでおく必要があった。改正後は試験合格後、免許登録までに実務を積めばよいことになった。

指定科目を修めて卒業した人であれば、在学中に実務の経験がなくても卒業後すぐに受験でき、合格してから実務を積んで免許登録に進むという流れが可能になった。詳細は国土交通省の報道発表資料で公表されている。

実務経験として認められる業務の範囲が広がった

改正前は、実務経験として認められる業務が設計・工事監理を中心とした限られた範囲にとどまっていた。改正後は、建築物の調査や評価、建築行政に関わる業務、大学等における建築に関する教育・研究といった業務も実務として算入できるようになった。

設計事務所や施工会社以外でキャリアを積んできた人にとっても、受験資格を得やすくなったといえる。どの業務が該当するか判断に迷う場合は、建築技術教育普及センターに直接確認するのが安全だ。

直近の試験結果を見ても、二級建築士試験の合格率は学科・製図を合わせて2割強で推移しており、受験資格を満たす準備と同様に試験対策にも一定の時間がかかる試験だ。年度ごとの受験者数・合格者数・合格率は建築技術教育普及センターの試験結果ページで公表されている。

実務経験証明書類の準備でつまずかないためのポイント

田中さんが受験申込みの直前に慌てたのが、証明書類の準備だった。二級建築士試験では、実務経験ルートで受験する場合はもちろん、学歴ルートでも免許登録の際に実務経歴書・実務経歴証明書の提出が必要になる。証明書には、勤務先の代表者や上司など「証明者」の署名・押印が必要で、退職済みの勤務先の場合は証明者を探すところから時間がかかることがある。

田中さんは転職を1回経験していたため、前職と現職それぞれの証明者に依頼する必要があった。前職の直属の上司がすでに異動していたことがわかり、証明者を誰に依頼すればよいか、建築技術教育普及センターに問い合わせて確認するまでに1週間近くかかったという。書類の様式や記入例は実務経歴書・実務経歴証明書 作成ガイドブックで確認できる。証明書類は受験・登録シーズンになると準備に時間がかかりやすいため、該当しそうな人は早めに勤務先へ相談しておくと安心だ。

受験資格チェックリスト:自分は今すぐ受験できるか

ここまでの内容を、自分に当てはめて確認できるチェックリストに整理した。

  • 国土交通大臣指定の学校(大学・短大・高専・専門学校・高校)で指定科目を修めて卒業した → 経験なしで受験できる
  • 指定科目を修めていない、または建築系以外の学校を卒業した → 卒業後に建築実務の経験を通算7年以上積んでいれば受験できる
  • 経験年数がまだ7年に満たない → 経験を積みながら受験のタイミングを待つ必要がある
  • 指定科目を修めて卒業予定・卒業したばかりで経験がない → 2020年の法改正により、免許登録までに実務を積めばよいため、今すぐ受験できる

自分がどの条件に当てはまるか判断がつかない場合は、卒業証明書・成績証明書を用意したうえで、建築技術教育普及センターの窓口に問い合わせるのが最も確実だ。

よくある質問

Q. 実務経験なしで二級建築士を受験することはできますか?

指定科目を修めた学校を卒業していれば、実務経験がなくても受験できる。2020年の法改正により、経験は受験時ではなく免許登録時までに積めばよいことになったためだ。指定科目を修めていない場合は、7年以上の実務を積む必要がある。

Q. アルバイトやパートの実務経験もカウントされますか?

雇用形態そのものよりも、従事した業務の内容が問われる。設計や工事監理、調査・評価といった建築に関する実務に該当していれば、雇用形態を問わず実務経験として認められる可能性がある。個別の判断が必要になるため、建築技術教育普及センターへの確認をおすすめする。

Q. 実務経験の証明はどのように行いますか?

勤務先の代表者や上司などの証明者に、実務経歴書・実務経歴証明書へ署名・押印してもらう形で証明する。書類の様式や記入例は建築技術教育普及センターが公開しているガイドブックで確認できる。

まとめ

二級建築士の受験資格は、指定科目を修めて建築系の学校を卒業したかどうかで大きく分かれる。学歴要件を満たせば実務経験ゼロで受験でき、満たさない場合は7年以上の実務を積むことで受験資格を得られる。2020年の法改正で実務経験のタイミングと対象範囲の両方が緩和されたため、「自分は二級建築士を受験できないかもしれない」と思い込んでいた人ほど、条件を見直す価値がある。

田中さんのように証明書類の準備で慌てないためにも、受験を意識し始めた時点で卒業した学校の指定科目該当状況と、これまでの職歴を一度整理しておくと安心だ。学歴ルート・実務経験ルートのどちらに該当するかを早めに把握しておけば、二級建築士の受験資格をめぐる遠回りを避けられる。証明者への依頼など準備に時間がかかる工程から着手し、余裕を持ったスケジュールで臨みたい。

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