「電験三種は独学で受かったのに、電験二種は何年経っても一次試験すら通らない」——そう語るのは、ビル管理会社に勤める佐伯健太さん(38・仮名)だ。二種の一次試験で理論科目に2年連続で落ち続けた経験がある。三種の学習範囲になかった微分方程式や過渡現象の計算問題に直面し、独学だけでは太刀打ちできないと痛感したという。
※ここで紹介する佐伯さんの体験は、複数の学習者の声をもとに構成した架空のケースです。
結論から言うと、電験二種の難易度は電験三種の2〜3倍とされ、合格率も一次試験・二次試験ともに20%前後と低い水準にとどまる。本記事では公式データをもとにした合格率の推移、必要な勉強時間の目安、そして三種合格者が二種で新たにつまずきやすいポイントを、佐伯さんの体験も交えて整理する。
電験二種の難易度は電験三種よりどれくらい高いのか
電験二種(第二種電気主任技術者試験)は、電験三種の上位資格にあたる。三種が扱える電圧範囲は5万ボルト未満に限られるのに対し、二種は17万ボルト未満まで拡大し、大規模工場や変電所クラスの設備を単独で保安監督できるようになる。責任範囲が広がる分、試験で問われる専門知識も格段に深くなる。
電験二種の難易度が電験三種より高いとされる最大の理由は、二次試験の存在だ。三種は一次試験(マークシート)のみで合否が決まるのに対し、二種は一次試験に加えて記述式の二次試験に合格する必要がある。二次試験では計算過程を自分の手で導き出し、論述で説明する力が求められるため、暗記中心の学習では通用しない。また、二次試験は年度によって出題傾向が変わるため、過去問暗記だけでは対応しきれない難易度がある。特に理論科目で問われる計算問題は年々難易度が上がっているとの声も多く、早めの対策が欠かせない。
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電験二種の合格率推移【一次試験・二次試験】

一般財団法人電気技術者試験センターが公表するデータによると、電験二種の一次試験合格率は過去10回平均で約27.2%、二次試験合格率は約19.4%にとどまる。一次試験を突破しても、二次試験でおよそ6割前後がふるい落とされる計算になる。
一次試験の科目別合格率(令和7年度)
一次試験は理論・電力・機械・法規の4科目で構成され、科目ごとの合格率にはばらつきがある。令和7年度の結果では、理論科目の合格率が19.2%と最も低く、電力科目は46.5%と比較的高い。理論科目の難易度の高さが、一次試験全体の合格率を押し下げている。
| 区分 | 合格率 |
|---|---|
| 一次試験全体(過去10回平均) | 約27.2% |
| 二次試験全体(過去10回平均) | 約19.4% |
| 理論(令和7年度) | 19.2% |
| 電力(令和7年度) | 46.5% |
| 機械(令和7年度) | 28.1% |
| 法規(令和7年度) | 31.4% |
二次試験の合格率が低い理由
二次試験は電力・管理の2科目を記述式で解答する。公式の模範解答が一部非公開のため自己採点が難しく、部分点の付き方次第で合否が大きく左右される。採点基準が不透明なことも、二次試験を難しく感じさせる一因になっている。
電験二種の合格点・合格基準の仕組み
一次試験は科目ごとに60点程度が合格ラインとされるが、年度によって難易度調整のため補正が入ることがある。4科目のうち一部だけ合格した場合は「科目合格」として扱われ、翌年度以降も申請すれば合格科目の再受験が免除される制度がある。
二次試験は電力・管理の合計点で合否が決まり、片方の科目だけ極端に低いと不合格になりやすい。得意科目で満点近くを狙うより、両科目とも合格ラインを安定して超える解答力を身につける方が、結果的に合格率を高められる。特に二次試験は年度によって採点基準が変わり、対策の難易度が読みにくい点も受験者を悩ませている。合格ラインぎりぎりの答案では、難易度が高い年度ほど不合格リスクが上がる点に注意したい。手続きの詳細は試験センターの案内で毎年確認しておくとよい。
電験二種に必要な勉強時間の目安

電験二種の合格に必要な勉強時間は、一般的に800〜1,200時間とされる。電験三種合格者でも、二種特有の記述対策や高度な計算演習を積み上げる必要があるため、三種合格時の勉強時間をそのまま流用することはできない。
1日2時間の学習を継続した場合、800時間に到達するまでにはおよそ1年1ヶ月かかる計算になる。仕事や家庭と両立しながら取り組む社会人受験者の多くは、1年半から2年程度のスケジュールを組んでいる。特に二次試験の論述対策は独学での難易度が高く、添削を受けながら解答の型を身につける時間も別途確保しておきたい。計算問題も三種より難易度が上がるため、演習量を増やすことが二次試験の合格率を左右する。過去問だけでなく類題演習にも時間を割くと得点が安定しやすい。
電験二種に挑戦して感じた壁(体験談)
佐伯さんが電験二種の学習を始めたのは、電験三種合格から10年が経ち、会社から現場責任者への昇格を打診されたタイミングだった。電験三種の勉強法をそのまま踏襲し、過去問の暗記中心で一次試験に臨んだが、1年目は理論科目で不合格。二種の理論は微分方程式や過渡現象など、三種にはなかった計算パターンが頻出することを、このとき初めて痛感したという。記述式ならではの壁の高さを、佐伯さんは身をもって思い知ったという。
2年目からは電気書院の「電験二種一次試験過去問マスタ」で基礎計算を固め直し、SATの通信講座で二次試験の論述対策動画を並行して視聴する学習に切り替えた。独学だけでは解答の書き方が分からなかった二次試験の記述問題も、添削付きの通信講座を使うことで得点の伸ばし方が見えてきたそうだ。
結局、一次試験は2回目の受験で合格し、二次試験は1回目で通過。学習期間は合計1年10ヶ月に及んだ。合格後は選任できる設備の電圧範囲が17万ボルト未満まで広がり、担当していたビルより規模の大きい工場設備の主任技術者に昇格。月給もおよそ2万円上がったという。
電験二種に合格するための勉強のコツ

科目合格制度を活用したスケジュール戦略
一次試験には科目合格制度があり、合格した科目は翌年度・翌々年度の申請で免除される。理論科目のように難易度が高い科目を1年目に集中して対策し、残り3科目を2年目に仕上げるといった分割戦略を取れば、1年あたりの学習負荷を抑えられる。
教材・通信講座の使い分け
一次試験の暗記・計算演習は市販の過去問題集で対応できるが、二次試験の論述対策は独学だと採点基準が分からず伸び悩みやすい。添削サービス付きの通信講座を二次試験対策だけに絞って併用する受験者が多いのも、この採点の不透明さが理由だ。教材選びを誤ると体感的な難易度が大きく変わるため、自分の弱点科目に合わせて過去問題集と通信講座を使い分けることが重要だ。特に二次試験は難易度の高い年度でも、安定した得点力があれば合格率を落とさずに済む。
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よくある質問(FAQ)
電験二種の難易度はどのくらいですか
電験三種の2〜3倍程度の難易度とされ、合格率も一次試験・二次試験ともに20%前後と低い水準にとどまる。二次試験の記述対策が加わる分、体感的な難易度はさらに高く感じられる。
電験二種は独学だけで合格できますか
一次試験は独学でも合格実績が多いが、二次試験は記述式のため、少なくとも過去問の模範解答と自分の解答を比較添削してくれる手段を持つことをおすすめする。通信講座の二次試験対策講座だけを単発で利用する方法もある。
電験三種と電験二種はどちらから受験すべきですか
電験二種は電験三種のような実務経験による認定取得ルートがなく、試験合格が前提となる。三種の実務経験を積んでから二種に挑戦する受験者が大半で、いきなり二種から受験するケースは少ない。
電験二種の合格率は今後上がりますか
過去10回の推移を見ると、一次試験・二次試験とも合格率は20〜30%台で大きな変動はない。試験制度が抜本的に変わらない限り、当面は同水準の難易度が続くとみられる。
まとめ
電験二種の難易度は電験三種の2〜3倍とされ、一次試験・二次試験の合格率はいずれも20%前後にとどまる。合格には800〜1,200時間の勉強時間が目安となり、科目合格制度を使った複数年計画と、二次試験に強い通信講座の併用が現実的な突破口になる。
試験制度の詳細や最新の試験日程は、実施団体である一般財団法人電気技術者試験センターの第二種電気主任技術者試験ページで確認できる。制度全体の位置づけは経済産業省の電気主任技術者制度ページにまとまっており、過去問は試験センターの問題と解答ページで公開されている。
