衛生管理者 第一種と第二種の違い|選び方ガイド

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「衛生管理者の資格を取ってほしい」——総務部に異動して半年、上司からそう言われた。頭に浮かんだのは「一種と二種、どちらを受ければいいのか」という疑問だった。

※本記事で紹介する田中健一さん(仮名)の体験は、複数の学習者の声をもとに構成した架空のケースです。

田中さんは化学品メーカーの総務部で労務管理を担当する38歳の会社員だ。法律で衛生管理者の選任が義務づけられていると知り、資格取得を任されたものの、第一種と第二種の違いを調べるところから始めることになった。同じように「まず何が違うのか知りたい」という読者に向けて、両者の違いと選び方を整理する。

衛生管理者とは何か

衛生管理者とは、労働安全衛生法にもとづき、常時50人以上の労働者を使用する事業場で選任が義務づけられている国家資格だ。職場の衛生状態を点検し、労働者の健康障害を防ぐための管理業務を担う。

具体的な職務は、作業環境の点検、健康診断結果にもとづく対応、衛生教育の実施、衛生委員会の運営補助など多岐にわたる。資格には第一種と第二種の2区分があり、どちらを取得すべきかは勤務先の業種によって決まる。

事業場によって選任すべき区分が変わるのは、有害業務の有無によって求められる知識の範囲に違いがあるためだ。この違いの背景には、業種ごとのリスクに応じた実務対応力を担保する狙いがある。

safety officer inspecting factory workplace

第一種と第二種の違い(比較表)

第一種衛生管理者と第二種衛生管理者の違いは、大きく分けて「選任できる業種」「試験科目」「難易度」の3点にある。まずは全体像を表で確認しておこう。

比較項目 第一種衛生管理者 第二種衛生管理者
選任できる業種 すべての業種 有害業務が少ない業種のみ
試験科目数 4科目 3科目(有害業務関連科目なし)
出題数 44問 30問
合格率の目安 46%前後 50%前後

選任できる業種の違い

第一種衛生管理者は、製造業や建設業、運送業など有害業務を含むすべての業種で衛生管理者として選任できる。一方、第二種衛生管理者が選任できるのは、情報通信業・金融業・卸売業・小売業など、有害業務との関連が少ない業種に限られる。

田中さんの勤務先は化学品を扱う製造業だったため、第二種の免許だけでは法律上の選任要件を満たせないことがあとで判明した。業種による違いを確認しないまま受験する種別を決めると、この田中さんのように二度手間になりかねない。

試験科目と出題数の違い

第二種衛生管理者の試験科目は「関係法令」「労働衛生」「労働生理」の3科目で、出題数は合計30問だ。第一種はこの3科目に加えて有害業務に関する内容が追加され、出題数は合計44問になる。

第二種は有害業務そのものを学習範囲から外せるため、暗記量は第一種よりも少ない。この暗記量の違いが、体感的な難易度の違いにそのままつながっている。

合格率・難易度の違い

公益財団法人安全衛生技術試験協会が公表した2025年度の実施結果によると、第一種衛生管理者の合格率は46.8%(受験者66,401人・合格者31,046人)だった。安全衛生技術試験協会によると、2024年度の第二種は合格率49.8%(受験者39,262人・合格者19,546人)で、第一種よりやや高い水準にある。

合格率の違いは数ポイントにすぎないが、出題範囲の違いが体感的な負担の差につながっている。数字だけを見ると差は小さく感じるが、有害業務分野の暗記に時間を割けるかどうかが合否の分かれ目になりやすい。

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第一種・第二種どちらを選ぶべきか

businessman standing at crossroads decision path

第一種と第二種の違いを一言でまとめると、対応できる業種の広さの違いだ。選ぶべき種別は、勤務先や志望先の業種で決まる。

製造業・建設業・運送業・農林業など有害業務を伴う職場で働く、または働く予定がある場合は、第一種を選んでおくと選任対象から外れる心配がない。

反対に、オフィスワーク中心の情報通信業や金融業、卸売・小売業で当面働く見込みなら、第二種でも法律上の要件は満たせる。将来的に異動や転職で業種が変わる可能性がある人は、第一種を取得しておくほうが選択肢は広がる。

田中さんのように「今の会社の業種を確認せずに第二種から受け始めた」というケースは珍しくない。業種による違いを受験前に確認する一手間が、遠回りを防ぐ。

体験談|総務担当者が第二種から第一種にステップアップした話

田中さんは最初、市販テキストと過去問10年分を使って第二種の学習を始めた。学習期間は平日1時間・休日2時間のペースで約6週間、本番は78点で合格した(合格ラインは各科目4割以上かつ合計6割以上)。

合格後、総務部の上司から「うちは化学品を扱うから第二種では選任できない」と指摘され、第一種の受験を決めた。第二種合格者でも科目は免除されないため、有害業務分野を一から学習する必要があり、想定より負担が大きかった。

学習中に一番戸惑ったのは、第一種と第二種で扱う有害業務の範囲の違いだった。似た名称の化学物質が並ぶ一覧表を、通勤時間中にスマートフォンで繰り返し見返す方法に切り替えてから、ようやく定着した。学習期間は8週間、本番のスコアは72点だった。

資格取得後は衛生委員会の運営を任されるようになり、自社の安全衛生管理体制を社内だけで満たせるようになった。田中さんは「最初から業種による違いを確認して第一種一本で学習していれば、二度手間にならなかった」と振り返っている。

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受験資格と試験の申し込み方法

person filling exam application document desk

衛生管理者試験は2023年度の制度改正により、学歴に応じた実務経験年数を満たせば受験できる。大学卒業者は実務経験1年以上、高校卒業者は実務経験3年以上が目安だ。受験資格そのものに第一種と第二種の違いはなく、共通のルールが適用される。詳しい区分は、試験を実施する安全衛生技術試験協会の公式ページで確認できる。

試験は全国7地区にある安全衛生技術センターで、ほぼ毎月実施されている。申し込みは郵送またはインターネットで受け付けており、受験日の2ヶ月前から手続きが可能だ。会場によって実施頻度が異なるため、余裕を持って日程を確認しておくとよい。

実務経験として認められる業務範囲は幅広く、衛生管理業務に限らず労働災害防止や作業環境改善に関わった業務も対象になる場合がある。申し込み時は在職証明書など実務経験を証明する書類の準備に時間がかかることがあるため、余裕をもって早めに手続きを進めておきたい。

よくある質問

第二種を持っていれば第一種の受験時に科目免除はありますか?

免除はない。第二種衛生管理者に合格していても、第一種の受験時は関係法令・労働衛生・労働生理に加え、有害業務に関する内容をすべて学び直す必要がある。

第一種と第二種、資格としての違いに優劣はありますか?

資格としての違いに優劣はなく、選任できる業種の範囲が違うだけだ。有害業務のない業種であれば、第二種でも法律上の要件を満たせる。

第一種と第二種で受験料に違いはありますか?

受験料は同額で、種別による違いはない。最新の金額は安全衛生技術試験協会の公式サイトで確認できる。

第二種から第一種へのステップアップにはどのくらい期間を空けるべきですか?

決まりはないが、第二種合格から数ヶ月以内に第一種へ挑戦すると、関係法令や労働衛生の基礎知識を忘れないうちに学習を上乗せできる。田中さんも合格から約1ヶ月後に次の受験を申し込んでいる。

まとめ

第一種と第二種の違いは、選任できる業種の範囲、試験科目、そして学習負担の大きさに集約される。有害業務を伴う業種で働く、または働く可能性があるなら第一種を、そうでなければ第二種を選ぶのが基本の考え方だ。

田中さんのように業種による違いを確認せず受験を始めると、合格後に取り直しが必要になることもある。まずは自社の業種と有害業務の有無を確認したうえで、どちらを受けるか決めてほしい。

有害業務を伴う現場に配属される見込みがある人や、将来的に業種の異なる部署への異動を控えている人は、第一種を選んでおくと安心だ。オフィスワーク中心の業務が今後も続く見込みで、資格取得の負担を抑えたい人には、第二種が現実的な選択肢になる。

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