運行管理者とは?仕事内容・資格の取り方・選任基準を解説

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「来月から運行管理者を目指してくれないか」。配車や点呼の手伝いをしていたら、上司からそう声をかけられた。そんな状況でこのページを開いた方も多いのではないでしょうか。運行管理者とは、トラックやバス、タクシーの安全運行を営業所単位で管理する国家資格者です。名前は聞いたことがあっても、具体的に何をする人なのか、ドライバー経験がなくても取れるのかは意外と知られていません。

ここで例に挙げる木村さん(38歳)は、ドライバー歴12年を経て配車担当に移ったタイミングで、会社から受験を勧められた一人です。仕事帰りに1日1時間、休日に3時間の学習を約2か月半続け、貨物の試験に30問中23問の正答で合格しました。本文の途中で、木村さんが実際につまずいたポイントも紹介します。

※ここで紹介する木村さんの体験は、複数の受験者の声をもとに構成した架空のケースです。

この記事では、運行管理者とはどんな役割なのかを、仕事内容・選任基準・資格の取り方・年収の4つの軸で整理しました。混同されやすい「安全運転管理者」との違いや、物流2024年問題で需要が増えている背景にも触れています。

運行管理者とは?事業用自動車の安全を守る国家資格

運行管理者とは、緑ナンバーの事業用自動車を使う運送事業者の営業所で、運行の安全を確保するために選任される責任者のことです。貨物自動車運送事業法や道路運送法にもとづく制度で、一定数以上の車両を持つ営業所には必ず置かなければなりません。この資格を名乗るには、国土交通大臣が交付する「運行管理者資格者証」が必要です。

法律で選任が義務づけられている理由

事業用自動車は長時間・長距離を走るため、ドライバー1人の判断だけに安全を任せると、過労運転や飲酒運転を見落としかねません。そこで運転者とは別の立場から健康状態や労働時間をチェックする役として、運行管理者が置かれています。重大事故が起きた際には、運行管理の体制が適切だったかどうかが行政処分の判断材料にもなります。

「貨物」と「旅客」の2種類がある

資格者証は、トラック運送を対象とする「貨物」と、バス・タクシー・ハイヤーを対象とする「旅客」に分かれています。試験も別々に実施され、片方の資格者証で、もう一方の事業の営業所に選任されることはできません。受験者数は貨物のほうが圧倒的に多く、物流業界で働く人が最初に目指すのは貨物の資格者証であるケースがほとんどです。

運行管理者の仕事内容

dispatcher checking truck driver before departure

運行管理者とは「現場の安全をデスクから支える人」と言い換えられます。ハンドルを握るのではなく、ドライバーが安全に走れる条件を整えるのが役目です。法令で定められた業務は多岐にわたりますが、日々の中心になるのは次の3つです。

点呼で運転者の状態を確認する

乗務前と乗務後には、原則として対面で点呼を行います。アルコール検知器による酒気帯びの確認、睡眠不足や疾病の有無、車両の日常点検の結果をチェックし、問題があれば乗務を止める判断を下します。長距離運行などで対面が難しい場合は電話点呼が認められるほか、一定の要件を満たせばIT機器を使った遠隔点呼も可能です。

乗務割の作成と労働時間の管理

誰がどの便に乗るかを決める乗務割(勤務シフト)の作成も欠かせない業務です。ここでは厚生労働省の「改善基準告示」に定められた拘束時間や休息期間を守らなければなりません。荷主の都合で出発が遅れたときなど、時間の調整に頭を悩ませる場面は多く、木村さんも「試験より実務のほうが計算が細かい」と話していました。

運転者への指導監督と記録の保存

新しく採用したドライバーへの初任運転者教育や、高齢運転者の適性診断の受診管理も運行管理者の担当です。加えて、点呼記録・運転日報・運行記録計(タコグラフ)の記録などを一定期間保存する義務があります。監査ではこれらの帳簿が真っ先に確認されるため、日々の記録の正確さが会社を守ることにつながります。

営業所に何人必要?選任基準と補助者の役割

貨物自動車運送事業の場合、選任すべき人数は「事業用自動車の数÷30+1(小数点以下切り捨て)」で計算します。旅客自動車運送事業は、バスやタクシーなど事業の種類によって計算式が異なります。貨物の営業所での具体例は以下のとおりです。

  • 車両29両まで:1人以上
  • 車両30〜59両:2人以上
  • 車両60〜89両:3人以上

運行管理者が不在の時間帯をカバーするため、営業所には「補助者」を置くことができます。補助者になれるのは、資格者証を持つ人か、後述する基礎講習を修了した人です。ただし補助者に任せられるのは点呼などの一部業務に限られ、点呼全体の少なくとも3分の1以上は運行管理者自身が行う必要があります。最終的な責任は、あくまで選任された運行管理者が負う仕組みです。

運行管理者と「安全運転管理者」の違い

混同されやすいのが「安全運転管理者」です。どちらも運転の安全を管理する立場ですが、対象となる車両や根拠となる法律がまったく異なります。運行管理者とは緑ナンバー(事業用)の管理者、安全運転管理者は白ナンバー(自家用)の管理者、と覚えておくと整理しやすいでしょう。

項目 運行管理者 安全運転管理者
対象車両 緑ナンバーの事業用自動車 白ナンバーの自家用自動車
根拠法 貨物自動車運送事業法・道路運送法 道路交通法
選任が必要な事業所 事業用自動車を使う運送事業の営業所 自家用車5台以上(乗車定員11人以上は1台以上)を使う事業所
なるための要件 運行管理者資格者証が必要 試験なし(20歳以上・運転管理の実務経験2年以上など)
届出先 地方運輸局(運輸支局) 都道府県公安委員会(警察署経由)

営業車を数台使う一般企業の総務担当者に求められるのは、多くの場合安全運転管理者のほうです。逆に、運送会社で配車や点呼を担うなら運行管理者資格者証が必要になります。自分の職場の車が緑ナンバーか白ナンバーかを確認すれば、どちらを目指すべきかすぐに判断できます。

運行管理者資格者証の取り方

person studying textbook at desk

資格者証を手に入れるルートは2つあります。ドライバー経験がない人でも、講習を受ければ試験に挑戦できる点が特徴です。どちらのルートでも、最終的には運輸支局などへの交付申請が必要になります。

ルート1:運行管理者試験に合格する(主流)

受験資格は「運行管理の実務経験1年以上」または「国土交通大臣が認定した機関で受ける基礎講習の修了」のいずれかです。基礎講習は3日間で、受講料は1万円前後が目安です。実務経験がなくても講習を受ければ受験できるため、異業種から運送会社に転職した人でも短期間で挑戦できます。

ルート2:実務経験5年+講習受講で取得する

運行管理の実務経験が5年以上あり、その間に講習を5回以上(うち1回以上は基礎講習)受けている場合は、試験を受けずに資格者証の交付を申請できます。ただし対象は補助者などとして長く現場にいた人に限られ、これから目指す人の大半はルート1を選ぶことになります。

試験の概要と合格率

試験は公益財団法人運行管理者試験センターが実施し、全国のテストセンターでCBT方式により年2回行われます。出題は30問で、総得点の60%(18問)以上、かつ出題分野ごとに所定の正答数を満たすと合格です。合格率は回によって変動しますが、近年はおおむね30〜40%前後で推移しています。

出題分野は、貨物自動車運送事業法・道路運送車両法・道路交通法・労働基準法・実務上の知識及び能力の5つです。木村さんが最も苦戦したのは労働基準法で、拘束時間の計算問題に最初は手も足も出なかったといいます。合格率の推移は運行管理者試験の難易度と合格率、具体的な学習手順は運行管理者の独学勉強法で詳しくまとめています。

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運行管理者とは今後も需要が続く仕事?物流2024年問題と年収

2024年4月から、トラックドライバーにも時間外労働の上限(年960時間)が適用されました。あわせて改善基準告示も改正され、1年の拘束時間は原則3,300時間以内に抑える必要があります。限られた労働時間で配送を回す運行管理の腕が、これまで以上に会社の業績を左右するようになりました。詳しい基準は厚生労働省の自動車運転者の労働時間等改善ポータルで確認できます。

年収は勤務先の規模や地域で差がありますが、求人サイトの募集を見ると400万〜550万円程度の提示が目立ちます。資格手当として月5,000〜20,000円を支給する会社も少なくありません。ドライバーとして経験を積んだ後に運行管理者へ移れば、体力的な負担を抑えながら長く業界で働き続ける道が開けます。

運行管理者とはどんな人に向いている仕事か

運行管理者とは、ドライバー・荷主・経営陣の間に立って調整を続ける仕事でもあります。そのため、細かい数字の管理が苦にならない人、相手の体調の変化に気づける人に向いています。朝の点呼で顔色や声の調子からいつもとの違いを察知できれば、事故を未然に防ぐことにつながります。運行管理者とは法令の細かい数字と向き合う仕事でもあり、拘束時間の上限などを根気よく確認できる人が活躍しています。

木村さんは合格後、営業所の運行管理者に選任され、ドライバー時代より月収が約3万円上がりました。一方で「早朝の点呼に合わせて出勤する日もあり、生活リズムは自分で整える必要がある」とも振り返っています。責任の重さとやりがいの両方を理解したうえで、キャリアの選択肢として検討してみてください。早朝や深夜の点呼にも柔軟に対応できる人なら、なお心強いでしょう。

運行管理者についてよくある質問

Q. 運行管理者とは運転免許がなくても取れる資格ですか?

A. 受験に運転免許は必要ありません。受験資格は実務経験1年以上か基礎講習の修了のどちらかで、学歴も問われません。ただし資格者証の交付時には、一定の処分歴がないことなどの要件を満たしている必要があります。

Q. 運行管理者は管理職のことですか?

A. 役職名ではなく、法令にもとづいて選任される立場です。課長や所長といった社内の肩書きとは別に、資格者証を持つ社員が営業所ごとに選任届を出して任命されます。若手社員が運行管理者として点呼を担当し、所長は別の人という営業所も珍しくありません。

Q. 試験の勉強期間はどれくらい必要ですか?

A. 法令に触れたことのない初学者なら、1日1〜2時間で2〜3か月が一つの目安です。過去問の出題パターンが比較的安定しているため、テキストを1周したら過去問題集の反復に時間を割くと効率が上がります。教材選びに迷う場合は運行管理者のテキストおすすめも参考にしてください。

Q. 基礎講習はどこで受けられますか?

A. 国土交通大臣が認定した講習実施機関で受講できます。代表的なのが自動車事故対策機構(NASVA)で、全国の支所で日程が組まれています。人気の日程はすぐ埋まるため、受験したい試験回から逆算して早めに申し込んでおくと安心です。

まとめ

運行管理者とは、緑ナンバーの事業用自動車の安全運行を営業所単位で支える国家資格者です。点呼・乗務割の作成・指導監督・記録の保存が主な仕事で、貨物の営業所なら車両30両ごとに1人の追加選任が必要になります。資格者証は試験合格ルートが主流で、基礎講習を受ければ実務経験がなくても挑戦できます。

物流2024年問題をきっかけに、労働時間を守りながら配送を回せる人材の価値は確実に高まっています。まずは自分の職場の車両が緑ナンバーかどうかを確かめ、基礎講習の日程と次回試験のスケジュールを調べるところから始めてみてください。運行管理者とは何かがつかめたら、試験合格と実務経験5年+講習のどちらのルートで取得するかを決めましょう。

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