「整体師って実際どのくらい稼げるの?」通信講座の資料を手に取りながら、そんな疑問を抱く人は多いはずだ。求人票には月給20万円台の数字が並ぶ一方で、独立開業した整体師が年収1,000万円を超えたという話も耳にする。振れ幅の大きさが、かえって不安を呼ぶ。
埼玉県在住の高橋麻衣子さん(32歳・仮名)は、アパレル販売員として8年働いたのち、通信講座で整体師の資格を取得し、整体院に正社員として就職した一人だ。就職1年目は月給28万円からのスタート。指名がなかなか取れず収入が伸び悩んだ時期もあったが、3年目の現在は月給35万円まで昇給し、独立開業も視野に技術を磨いている。
※ここで紹介する高橋さんの体験は、複数の学習者の声をもとに構成した架空のケースです。
この記事では、整体師の仕事内容の実態と雇用形態別の年収相場、収入を伸ばす具体的な方法を、高橋さんのケースを交えて数字で見ていく。
整体師の仕事内容とは
整体師の仕事は、施術台の上でもみほぐすだけではない。来院した客の悩みを聞き取り、姿勢や歩き方を観察し、関節の可動域や筋力を確認したうえで施術方針を決める。1回の来院で向き合う工程は想像より多い。
ヒアリングから施術までの流れ
- カウンセリング:痛みの部位・生活習慣・過去のケガの有無を確認する
- 姿勢・歩行観察:立ち姿や歩き方の癖から体のゆがみを見立てる
- 可動域・筋力チェック:関節の動く範囲や筋肉の張りを検査する
- 施術:骨盤矯正やもみほぐしなど、見立てに応じた手技を行う
- アフターアドバイス:ストレッチや姿勢の癖の直し方を伝える
施術以外に整体師が担う業務
競合サイトの多くは施術内容の説明に紙面を割くが、実際の現場では施術以外の業務も収入と直結する。高橋さんの整体院では、受付対応・カルテの入力管理・院のSNS更新・回数券やサプリメントの物販提案までが担当範囲に含まれる。特にSNSでの発信は新規客の来院動機に直結するため、施術技術と同じくらい重視されているという。

整体師は国家資格ではない?民間資格との違い
「整体師」という職業名には、実は全国統一の国家資格が存在しない。厚生労働省が所管する国家資格は「あん摩マッサージ指圧師」「はり師」「きゅう師」であり(詳細は厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)を参照)、整体はこれらとは別の民間資格・スクール修了認定として運営されている。
民間資格であっても、通信講座を修了することで得られる知識体系にはカリキュラムごとに差がある。高橋さんが受講した講座では解剖学・生理学の基礎科目に加え、実技指導が動画とスクーリングの両方で行われたといい、「独学だけでは筋肉や骨格の触診感覚がつかみにくかったので、通信講座で添削を受けられたのは助かった」と振り返る。就職活動では、資格の有無よりも実技試験や研修期間中の評価を重視する整体院も多い。
整体師の年収相場を雇用形態別に比較
年収は雇用形態によって大きく変わる。厚生労働省の賃金構造基本統計調査や求人統計データをもとに整理すると、次のようになる。
| 雇用形態 | 年収・時給の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 正社員 | 約390万円(月給32万円前後) | 指名件数に応じた歩合給が上乗せされる院もある |
| パート・アルバイト | 時給1,200円前後 | シフトの自由度は高いが収入は伸びにくい |
| 独立開業 | 300万円〜1,000万円超 | 経営が軌道に乗るまで数年かかることもある |
求人統計データは複数の求人サイトの掲載条件を平均したものであり、都市部と地方、駅前立地か住宅街かによっても差が出やすい。高橋さんが勤める埼玉県内の整体院では、都心の店舗に比べて家賃負担が軽い分、歩合給の還元率が高めに設定されているという。
独立開業した場合の年収とリスク
独立開業は年収の上限を大きく引き上げられる一方、開業初期は収入が不安定になりやすい。テナント賃料や機材費などの固定費がかかるうえ、集客が軌道に乗るまでの数ヶ月〜数年は赤字覚悟という声も珍しくない。高橋さんも「まずは会社員として指名客を増やす経験を積んでから独立を考えたい」と話している。
開業費用の内訳を見ると、テナントの保証金・内装工事費・ベッドや施術機材の購入費だけで200万円〜400万円程度かかるケースが多く、開業後も家賃・光熱費・広告費といった固定費が毎月発生する。集客が軌道に乗るまでの半年〜1年は、貯蓄を取り崩しながら経営を続ける整体師も珍しくない。フランチャイズ型の整体院に加盟して開業する道を選べば初期費用は抑えられるものの、ロイヤリティの支払いが発生し利益率は下がる点も考慮する必要がある。
整体師の年収を上げる4つの方法
- 指名客を増やす:カウンセリングの質を上げてリピート率を高める
- 上位資格を取得する:カイロプラクティックなど関連分野の技術を追加する
- 物販・回数券の提案力を磨く:施術以外の売上を積み上げる
- 独立開業を視野に入れる:経験を積んだうえで収入の上限を引き上げる
これらの方法は単独ではなく組み合わせて実践することで効果が高まる。特に指名客の増加と物販提案力の向上は相乗効果を生みやすく、高橋さんも「常連客が増えてから物販の提案が自然に通りやすくなった」と実感しているという。
資格取得ルート別の年収・キャリア差
- 通信講座:働きながら資格取得を目指せる。高橋さんのように前職を続けながら6ヶ月ほどで修了できる講座が多い
- 専門学校:1〜2年かけて基礎から学ぶため就職先の選択肢が広がりやすいが、学費と時間の負担は大きい
- 独学:費用を抑えられるが、実技の習得度に差が出やすく就職先が限られる場合がある
整体師の1日のタイムスケジュール例
高橋さんが勤める整体院の1日は、おおよそ次のように進む。
- 9:30 出勤・院内清掃・カルテ確認
- 10:00 午前の施術(3〜4件)
- 13:00 休憩・SNS投稿の準備
- 14:00 午後の施術(4〜5件)
- 18:30 カルテ入力・翌日の予約確認
- 19:00 退勤
施術の合間にカルテ入力やSNS更新が挟まるため、体力だけでなく事務作業を効率よくこなす段取り力も欠かせない。高橋さんは「予約が詰まった日は休憩時間にSNS投稿の下書きだけ済ませておき、退勤前にまとめて仕上げるようにしている」と、時間配分の工夫を語る。忙しい日でも施術の質を落とさないよう、休憩時間の使い方を細かく調整しているのが実情だという。

高橋さんの月給推移で見るリアルな収入プロセス
高橋さんの月給は、就職1年目が28万円だった。技術に慣れないうちは指名が取れず、収入は横ばいの時期が続いたという。2年目に入り常連客が増え始めると月給は31万円に上がり、3年目の現在は35万円まで昇給した。「最初の1年は正直しんどかったが、指名が増えるほど給与に反映される仕組みだと分かってからは続けやすくなった」と振り返る。今は独立開業も視野に入れ、技術と物販提案力の両方を磨いている段階だという。
月給の伸びは指名客数の推移とほぼ比例しており、1年目は月あたりの新規指名が数件にとどまっていたのに対し、3年目には常連客からの紹介だけで月10件以上の指名が入るようになったという。数字の変化だけでなく、施術の合間に交わす会話の中で信頼関係を積み重ねてきた実感が、収入アップの土台になっていると高橋さんは語る。
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まとめ
整体師の年収は雇用形態によって差が大きく、正社員で約390万円、独立開業なら1,000万円を超える可能性もある一方、開業初期のリスクも見過ごせない。施術技術だけでなく、受付・カルテ管理・SNS発信・物販提案まで含めた仕事内容を理解したうえで、通信講座・専門学校・独学のどのルートで資格を取得するかを検討すると、就職後のギャップを減らせる。
高橋さんのように未経験からのキャリアチェンジを考えている場合は、いきなり独立を目指すのではなく、まずは正社員として現場経験を積みながら指名客との信頼関係の築き方を学ぶルートも選択肢のひとつだ。自分の生活スタイルや目指す働き方に合わせて、通信講座の内容や整体院の研修制度を比較検討することが、収入アップへの近道になる。