「電気工事士に転職したら、実際どのくらい稼げるのか」――建設・設備業界への転職を考え始めた人の多くが、まずこの疑問にぶつかる。年収の実態が見えないまま踏み出すのは不安が大きい。
※本記事で紹介する田中さんの体験は、複数の同職種転職者の声をもとに構成した架空のケースです。
本記事では仕事内容から年代別の年収相場、有効求人倍率から見る将来性、そして未経験からの転職事例までをまとめる。

仕事内容とは
電気工事士は、建物や工場、住宅に電気を安全に届けるための施工と点検を担う。具体的には次のような業務がある。
- 配線工事(新築・改修時の電気配線の敷設)
- 分電盤・ブレーカーの設置と交換
- 照明・コンセント・スイッチの取り付け
- 電気設備の定期点検とメンテナンス
- エアコンや太陽光発電設備の電気工事
第二種電気工事士は一般住宅や小規模店舗を、第一種は大規模なビルや工場まで対応範囲が広がる。資格の種類によって携われる現場の規模が変わる点は、就職前に押さえておきたい。
実際の現場では、朝礼で当日の作業内容を確認したのち、二人一組で配線や機器の設置を進めることが多い。屋内配線だけでなく高所での屋外工事や停電を伴う作業もあり、体力面の負荷も職種選びの判断材料になる。
電気工事士の年収相場(年代別データ)
平均年収はおよそ450万〜550万円台で、日本の平均年収461万円と同水準かやや上回る。年代によって幅があり、経験年数と資格の等級(第二種から第一種へ)が収入に直結する。
年代別の年収推移
| 年代 | 年収の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| 20代 | 300万〜400万円台 | 実務経験を積みながら資格の等級を上げる時期 |
| 30代 | 400万〜600万円台 | 現場責任者や第一種取得で収入が伸びる |
| 40代以降 | 600万〜800万円以上 | 施工管理や独立で高収入化しやすい |
独立した場合の年収
独立して個人事業主や法人として工事を請け負う人は、900万〜1,000万円クラスに達するケースがある。会社員のまま昇給を待つより、実務経験と施工管理の資格を組み合わせて独立するほうが生涯年収を伸ばしやすい。

将来性は?有効求人倍率3.8倍の実態
厚生労働省の一般職業紹介状況によると、電気工事士の有効求人倍率は3.8倍で、全職業平均の1.22倍を大きく上回る(厚生労働省「一般職業紹介状況」)。人手を必要とする現場の数に対して有資格者が足りていない状態が続いている。
老朽化した電気設備の更新工事、太陽光発電やEV充電設備といった新分野の工事需要も重なり、仕事が急になくなる業種ではない。職業情報提供サイトjob tagでも同資格は継続的な求人ニーズがある職種として紹介されている(厚生労働省job tag「電気工事士」)。
経済産業省の資料でも再生可能エネルギー導入拡大に伴う電気設備工事の需要増加が指摘されており、今後10年程度は人手不足の解消が見込みにくい状況が続くとされる。地方では若手技術者の不足がより深刻で、未経験者を歓迎する求人も増えている。
未経験から転職した田中さんのケース
飲食店の店長として8年働いていた田中直樹さん(34歳)は、休みが不規則な働き方に区切りをつけたいと考え、手に職をつけられる電気工事士への転職を決めた。電気の知識はゼロからのスタートだった。
通信講座を使って第二種電気工事士の学習を始めたが、複線図の読み方と電気理論の計算問題で最初の2ヶ月はつまずいた。休日にテキストを繰り返し解き、学習期間は4ヶ月。筆記試験は84点で合格し、技能試験も一発で通過した。
転職後は電気工事会社の見習いからスタートし、前職の年収328万円から391万円に上がった。現場では未経験でも資格があれば任される仕事の幅が違うと実感しているという。
資格取得後は現場の先輩に配線の基本から教わりながら、半年ほどで一人で任される作業が増えたという。

収入を上げるためのキャリアアップ方法
電気工事士として収入を伸ばす方法はいくつかある。
- 第一種電気工事士へのステップアップ:対応できる現場が広がり、単価の高い工事を任されやすくなる
- 施工管理技士など関連資格の取得:現場監督のポジションに就くと手当が加算される会社が多い
- 独立・法人化:実務経験を積んだ後に独立すれば、案件単価をそのまま収入に反映できる
- 太陽光・EV充電設備など専門分野の経験:新分野に強い技術者は引き合いが多く単価交渉がしやすい
資格試験は一般財団法人電気技術者試験センターが実施しており、年2回受験できる(電気技術者試験センター「第二種電気工事士試験の試験結果と推移」)。第二種を取得したあとに実務経験を重ねて第一種を目指す流れが一般的だ。
資格手当は月5千円〜2万円程度が相場で、複数の資格を組み合わせることで手当の合計額も積み上がっていく。
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まとめ
電気工事士の年収は20代で300万円台からスタートし、経験と資格の等級を重ねることで600万〜800万円、独立すれば1,000万円クラスまで伸びる余地がある。有効求人倍率3.8倍という数字が示す通り、当面は人手不足が続く見込みで、未経験からの転職でも実務経験を積みながらキャリアを築ける環境がある。