「公務員試験」と検索窓に打ち込んだものの、国家か地方か、どの試験区分を受ければいいのか、何から手をつければいいのか分からず手が止まる人は多い。実際、2026年度の国家公務員一般職試験(大卒程度)の申込者数は26,429人で前年度比3.9%増、2年連続の増加は2016年度以来10年ぶりだった(人事院発表)。
※本記事で紹介するAさん(27歳・元IT営業)の転職エピソードは、複数の公務員試験受験経験者の声をもとに構成した架空のケースだ。
Aさんは前職のIT営業を3年で辞め、市役所の事務職を志望した。最初にぶつかったのは「公務員試験」という言葉の広さだった。国家総合職・国家一般職・地方上級・市役所上級・警察官・消防士まで、求人票には見慣れない試験名が並んでいた。どれが自分の志望職種に対応するのか見分けがつかなかったという。この記事では、その入口でつまずかないよう、公務員試験の全体像を種類・難易度・スケジュール・勉強時間の4つの軸で整理する。
公務員試験とは何か
公務員試験とは、国や地方自治体が職員を採用する際に実施する競争試験の総称だ。民間企業のように応募者を自由に選考できないため、筆記試験と面接試験を組み合わせて公平に合否を判定する仕組みになっている。試験の実施主体は人事院(国家公務員)と各自治体の人事委員会(地方公務員)に分かれ、採用区分ごとに試験科目・倍率・スケジュールが異なる。
「公務員試験」は単一の試験ではなく、数十種類の試験の総称だと理解しておくと、次に見る試験区分の話がつながりやすい。
公務員試験とはつまり「就職試験」ではなく「資格試験に近い競争試験」であり、採用予定人数に対して合格者数が絞られる点が民間就活と大きく異なる。この違いを理解しないまま対策を始めると、必要な学習期間の見積もりを誤りやすい。

公務員試験の種類(国家公務員と地方公務員)
公務員試験は大きく国家公務員試験と地方公務員試験の2系統に分かれる。さらにそれぞれが学歴要件や職種によって細かい区分に分かれる。
国家公務員試験
| 区分 | 対象 | 特徴 |
|---|---|---|
| 総合職 | 大学院・大卒程度 | いわゆる「キャリア」。政策立案に関わる幹部候補で最難関 |
| 一般職(大卒程度) | 大卒程度 | 各省庁の実務を担う中核層。2026年度申込者は26,429人 |
| 専門職 | 大卒程度 | 国税専門官・財務専門官など特定分野に特化 |
地方公務員試験
| 区分 | 対象 | 特徴 |
|---|---|---|
| 地方上級 | 大卒程度 | 都道府県・政令指定都市の幹部候補 |
| 市役所上級 | 大卒程度 | 市区町村の事務職。Aさんが受験したのはこの区分 |
| 初級・警察官・消防士 | 高卒程度中心 | 体力試験を課す職種もあり試験内容が大きく異なる |
地方公務員試験の実施要領は自治体ごとに公開されており、総務省の地方公務員制度のページから各自治体の人事委員会サイトへたどることができる。
公務員試験の難易度は職種でどう変わるか
難易度は「試験区分」と「倍率」の掛け合わせで決まる。総合職は難関大学の学生でも継続的な対策が不可欠であり、教養科目に加えて専門科目・論文・複数回の面接が課される。一般職(大卒程度)は地方上級とほぼ同等の難易度であり、教養試験と専門試験の科目数の多さが最初の壁になる。
Aさんが選んだ市役所上級は、専門科目の出題範囲を教養科目中心に絞る自治体も増えており、社会人経験者にとって参入しやすい区分だった。ただし倍率は自治体・年度によって数倍から十数倍まで差があるため、志望先の直近の実施結果を必ず確認する必要がある。公務員試験とはどの程度の難易度になるのか、区分ごとの合格率まで詳しく知りたい場合は、公務員試験の難易度・合格率を試験別に徹底解説で試験別の数値を確認できる。
公務員試験のスケジュール(申込から内定まで)
国家公務員試験は例年、春に申込が始まる。2026年度の一般職(大卒程度)試験は申込期間が2月19日から3月23日、第1次試験が5月31日という日程だった。地方上級試験も多くの自治体がこれに近い時期に第1次試験を実施している。

大まかな流れは次の通りだ。
- 2〜3月:申込受付(インターネット申込が中心)
- 5〜6月:第1次試験(教養・専門の筆記試験)
- 6〜8月:第2次試験(面接・集団討論・論文など)
- 7〜9月:最終合格発表、官庁訪問・採用面接
- 10月以降:内々定、翌年4月に採用
市役所試験は自治体によって日程がずれ、9月以降に第1次試験を実施する「秋試験」枠を設ける自治体もある。志望先が複数ある場合は、日程が重ならないか早い段階で突き合わせておくと選択肢を狭めずに済む。
合格に必要な勉強時間の目安
国家一般職や地方上級を目指す場合、800〜1,200時間の学習が目安になる。1日3時間の学習を続けたとして、およそ9か月から13か月に相当する時間量だ。Aさんの場合は営業職で身につけた朝型の生活リズムを活かし、始業前の1時間半と休日にまとめて学習時間を確保する形で、10か月ほどで試験本番を迎えたという。
専門科目の有無で必要時間は変わる。教養試験のみの市役所枠であれば600時間台で合格ラインに届くケースもある一方、専門科目を課す区分では出題範囲が広い。憲法・民法・経済学など科目数が多く、独学では優先順位づけに時間を取られやすい。公務員試験とはどのくらいの学習量が必要なのか、合格者の実体験を交えた計画例を公務員試験 独学勉強法完全ガイド|合格者の体験談付きで紹介しているので、スケジュールの立て方に迷ったら参考にするとよい。
独学と通信講座、どちらで対策すべきか
独学は費用を抑えられる反面、出題範囲の広さから何を優先すべきか自己判断する負担が大きい。通信講座は科目の優先順位や頻出テーマがカリキュラムとして整理されているため、初めて全体像をつかむ段階では学習の迷いを減らせる。
Aさんは専門科目の学習をゼロから始めるにあたり、教養・専門科目の頻出テーマを一冊で網羅したオールインワン型の通信講座を最初の2〜3か月だけ受講し、憲法・民法・経済学の出題範囲を洗い出した。その後は市販の過去問題集で演習を積み増す併用型に切り替え、負担を分散した。逆に大学で法律・経済系科目を履修済みなら、過去問中心の独学でも十分に対応できる。通信講座各社の費用・カリキュラムの違いを比較したい場合は、公務員試験の通信講座おすすめ8社比較【2026年】で具体的な選び方を確認できる。
まとめ
公務員試験とは何かを改めて整理すると、国家と地方、さらに職種ごとに数十種類の区分に分かれる試験の総称であり、まず自分が目指す職種がどの区分に該当するかを特定することが最初の一歩になる。難易度は区分と倍率で決まり、スケジュールは春の申込から翌春の採用まで1年がかりで進む。800〜1,200時間という勉強時間の目安を踏まえ、独学か通信講座かを自分の学習経験に合わせて選ぶとよい。Aさんはこの10か月の学習を経て市役所の事務職に採用され、現在は住民窓口業務からスタートし、IT営業時代とは異なる年功に応じた給与体系・定時退庁が中心の働き方に変わったという。未経験からでもこうした合格ルートに乗せることができる。公務員試験とはゴールではなくスタートラインであり、区分選びと学習計画さえ押さえれば、社会人・未経験からでも十分に合格を狙える試験だと言える。