「心理カウンセラーになりたいけれど、講座が多すぎてどれを選べばいいのか分からない」。転職サイトの掲示板やSNSでは、こんな悩みが後を絶たない。各社の情報を比較しないまま、勢いで申し込んでしまう人も少なくない。
元人事担当の田中美咲さん(38歳・仮名)も、そのひとりだった。会社員として15年働くなかで、部下のメンタル不調に何度も向き合ってきた経験から、その道への転身を決意した。しかし調べ始めてすぐ、ユーキャンやキャリカレなど講座の選択肢の多さに圧倒され、比較サイトやレビューを読み漁ったという。
※ここで紹介する田中さんの体験は、複数の受講者の声をもとに構成した架空のケースである。
田中さんは半年かけて情報収集・比較し、最終的にキャリカレの「メンタル心理カウンセラー資格取得講座」を選んだ。仕事と両立しながら平日夜と週末に学習を進め、5ヶ月で2つの資格を同時に取得した。現在は本業を続けながら、月2〜3件のオンラインカウンセリングを副業として受けている。
この記事では、田中さんのように同資格を通信講座で目指す人に向けて、主要4社の費用・学習期間・特徴を比較し、後悔しない選び方を解説する。
心理カウンセラー資格には「民間資格」と国家資格「公認心理師」がある

通信講座で取得できるこれらの関連資格の多くは、各講座運営会社や協会が独自に認定する民間資格である。国が認定する資格ではないため、資格そのものに独占業務があるわけではない。国家資格と比較すると、この点が大きな違いになる。
一方、日本には心理職の国家資格として「公認心理師」が存在する。公認心理師試験研修センターによると、公認心理師になるには指定の大学・大学院で心理学を専門的に学んだうえで、国家試験に合格する必要がある。通信講座だけで取得できる資格ではない。民間の心理カウンセラー資格と比較すると、取得のハードルは格段に高い。
心理職の資格にはもうひとつ、臨床心理士がある。日本臨床心理士会が認定する資格で、こちらも指定大学院修了が受験資格の条件になる。2023年5月実施の第6回公認心理師試験では、受験者2,020人のうち1,491人が合格した。合格率は73.8%だった(公認心理師試験研修センター公表データより)。民間資格と比較すると、必要な学歴や受験資格の厳しさが際立つ。
つまり通信講座で学べるこれらの資格は、公認心理師や臨床心理士と比較すると別物だ。医療機関でのカウンセリング業務に就くというより、傾聴スキルを身につけて副業や身近な人の相談に活かす使い方が中心になる。あるいは、独立してカウンセリングルームを開業する道もある。この違いを理解したうえで講座を選ぶことが、後悔しない第一歩になる。
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心理カウンセラー資格が学べる通信講座4社比較
この系統の資格を扱う通信講座は数多いが、ここでは知名度と受講実績の観点から代表的な4社を比較する。価格やカリキュラムは変更されることがあるため、申し込み前に必ず公式サイトで最新情報を確認してほしい。
| 講座名 | 費用目安(税込) | 学習期間目安 | 取得できる資格 |
|---|---|---|---|
| ユーキャン | 59,000円前後 | 6ヶ月 | 心理カウンセラー |
| キャリカレ | 59,800円前後 | 3〜6ヶ月 | メンタル心理カウンセラー+上級心理カウンセラー |
| ヒューマンアカデミー | 62,700円前後 | 6ヶ月前後 | メンタル心理カウンセラー |
| がくぶん | 42,000円前後 | 6ヶ月 | 心理カウンセリング総合講座修了 |
上表で比較したとおり、通信講座ごとに費用と学習期間には差がある。
例えばキャリカレの「メンタル心理カウンセラー資格取得講座」公式ページでは、受講生60,000人・受講満足度85.3%といった実績データや、添削回数・受講料の詳細が公開されている。申し込み前に必ず確認しておきたい。
ユーキャンの資格講座
知名度の高さが最大の強みだ。テキストは図解中心で、心理学の予備知識がなくても読み進めやすい。添削課題を提出すると講師から個別フィードバックが届き、独学よりも挫折しにくい設計になっている。ただしダブル資格制度はなく、取得できる資格は1種類にとどまる。他社と比較するとシンプルな構成だ。
キャリカレ「メンタル心理カウンセラー資格取得講座」
1回の受講で「メンタル心理カウンセラー」と「上級心理カウンセラー」の2資格を同時に目指せる点が特徴だ。期限内に合格できなければ受講料が全額返金される保証制度もあり、初めて資格学習に挑戦する層への配慮が厚い。田中さんがこの講座を選んだ決め手も、この返金保証だったという。他の3社と比較して、保証の手厚さが際立つ。
ヒューマンアカデミーの資格講座
大手スクールならではの映像講義の質の高さが強みで、現役カウンセラーが講師を務める回もある。通信だけでなく通学スクーリングを選べるコースもあり、実技を対面で確認したい人に向いている。他社と比較すると、費用はやや高めの設定だ。
がくぶん「心理カウンセリング講座」
4社の中でもっとも費用を抑えられる講座だ。カリキュラムは基礎的な傾聴技法に絞られており、まず心理学に触れてみたいという入門層に向いている。専門資格としての対外的な認知度は他3社と比較するとやや低い点は理解しておきたい。
失敗しない通信講座の比較・選び方、3つのチェックポイント

複数の講座を比較する際、価格だけで決めると後悔しやすい。田中さんの体験も踏まえ、確認しておきたい3つのポイントを紹介する。
①ダブル資格・附帯資格の有無
1講座で2資格を取得できると、名刺や自己紹介での説得力が増す。副業や開業を見据えるなら、資格の数よりも「組み合わせの相性」を確認したい。他講座と比較して選ぶのがおすすめだ。
②サポート体制と添削回数
添削の回数、質問対応の有無、返金保証の条件は講座ごとに大きく異なる。仕事や家事と両立する社会人ほど、挫折しそうになったときに頼れる仕組みがあるかを重視すべきだ。各社を比較する際は、この点を必ずチェックしたい。
③受講後の活用イメージ
資格取得がゴールではない。副業として月数件のカウンセリングを受けたいのか、将来的に開業したいのかで、選ぶべき講座のレベル感は変わる。修了生の活動事例を公式サイトで確認しておくと、受講後のイメージがつかみやすい。複数の講座を比較しながら、自分に合うレベル感を見極めたい。
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独学ではなく通信講座を選ぶメリット
心理学の入門書を数冊読めば、独学でも基礎知識は身につく。しかし「傾聴」や「共感的理解」といった実践スキルは、書籍だけで習得するのが難しい。通信講座では添削課題を通じて、自分の受け答えの癖を客観的に指摘してもらえる。これは独学では得にくい価値だ。通信講座と独学を比較すると、この差は小さくない。
また、修了時に資格が付与されることで、SNSのプロフィールや副業マッチングサイトへの登録時に、学習の裏付けを示しやすくなる。田中さんも、副業カウンセリングの依頼が来るようになったのは資格取得後だったと振り返る。
費用の面だけで比較すると、独学は書籍代の数千円で始められるため一見コストが低く見える。しかし添削指導やコミュニティサポートがない分、遠回りしたり途中で挫折したりするリスクも高まる。数万円の受講料を、講師からのフィードバックや修了後の資格という「時間短縮への投資」と捉えられるかどうかが、通信講座を選ぶかどうかの分かれ目になる。独学との比較表を作ってみるのもひとつの方法だ。
資格取得までの体験談

田中さんが学習を始めたのは、平日の帰宅後1時間と土曜午前の3時間。最初の1ヶ月はテキストの専門用語につまずき、心理学の基礎から復習し直す必要があった。転機になったのは、添削課題で講師から「傾聴の姿勢は伝わるが、相手の感情をラベリングする一言が足りない」と具体的な指摘を受けたことだったという。独学で自己流に進めていた頃と比較すると、大きな転機だったと振り返る。
それ以降は模擬カウンセリングの練習を意識的に増やし、5ヶ月目で2資格に合格した。現在は本業の人事の仕事にも、部下との面談で学んだ傾聴スキルを活かしている。
合格直後は「資格を取っただけでは自信が持てない」と感じていた田中さんだったが、オンラインカウンセリングのマッチングサイトに登録し、実際に相談者と向き合う経験を重ねるうちに手応えを感じるようになったという。学習を始めた当初の自分と今を比較すると、相手の感情を言葉で受け止める余裕が格段に増えたと話す。
よくある質問
Q. 独学でも心理カウンセラーになれますか?
民間資格の名称自体は独学でも名乗れる場合があるが、対外的な信頼性や実技スキルの裏付けという点で独学と比較すると、添削指導のある通信講座のほうが有利だ。
Q. 心理カウンセラー資格は国家資格ですか?
いいえ、通信講座で取得するこれらの資格は民間資格である。国家資格は公認心理師のみで、指定の大学院修了などが必要になる。民間資格同士を比較する際も、認定団体の信頼性を確認したい。
Q. 通信講座はどのくらいの期間で修了できますか?
標準的な学習期間は3〜6ヶ月に設定されている講座が多い。ただし在籍期間内であれば延長できる講座がほとんどなので、社会人でも自分のペースで進めやすい。各社を比較する際は、この標準期間を目安にするとよい。
Q. 資格取得後、副業として活動できますか?
オンラインカウンセリングのマッチングサイトに登録し、月数件から活動を始める修了生は少なくない。ただし集客には別途の努力が必要になる点は理解しておきたい。副業としての活動実績も、講座選びの比較ポイントのひとつになる。
まとめ
同資格の通信講座は、費用も学習期間も講座ごとに差がある。ダブル資格を狙うならキャリカレ、映像講義の質を重視するならヒューマンアカデミー、まず低予算で試したいならがくぶんが向いている。各社を比較検討したうえで、自分の目的に合わせて選ぶことが後悔しないコツだ。田中さんのように「副業として傾聴スキルを活かしたい」という明確な目的があると、講座選びの軸がぶれにくくなる。まずは気になる講座の資料請求から始めてみてほしい。
複数の講座を比較する際は、価格表だけでなくサポート体制や修了後の活用イメージまで含めて検討したい。今回比較した4社は、それぞれ強みが異なるため、どれが優れているというより「自分の目的に合うかどうか」で選ぶのが後悔しない近道だ。