社会福祉士国家試験の合格率は?直近5年の推移

社会福祉士国家試験の合格率は、2026年2月実施の第38回試験で60.7%を記録した。過去最高の数字であり、福祉系国家資格のなかで長らく「低い」と言われてきた印象を塗り替えつつある。受験者数が減っても、試験そのものの難易度の水準が下がったとは限らない、という指摘もある。
ただし合格率の推移を年ごとに見ると、上昇は一直線ではなかった。第34回は31.1%にとどまり、3人に1人程度しか合格できない水準だった。合格率が上がった背景には、対策ノウハウの蓄積があり、出題内容そのものの難易度が下がったとは言い切れない。
| 試験回 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 第34回 | 34,563人 | 10,742人 | 31.1% |
| 第35回 | 36,974人 | 16,338人 | 44.2% |
| 第36回 | 34,539人 | 20,050人 | 58.1% |
| 第37回 | 27,616人 | 15,561人 | 56.3% |
| 第38回 | 25,430人 | 15,438人 | 60.7% |
出典: 公益財団法人社会福祉振興・試験センター公表資料をもとに作成。第37回から満点が150点から129点に変更されており、単純な得点比較はできない点に注意したい。得点の基準が変わった年度をまたぐ比較は、素点ではなく百分率で確認するのが実務的だ。
社会福祉士の難易度は高い?他の福祉系資格と比較してわかること
合格率だけを見ると簡単になったように感じるかもしれないが、社会福祉士は今も福祉系資格のなかで難易度が高い部類に入る。同じ国家資格である精神保健福祉士や介護福祉士と比べると、体感の難易度にも差がはっきり表れる。
- 社会福祉士(第38回): 合格率60.7%、出題科目19科目、合格基準は129点中78点前後
- 精神保健福祉士(第28回): 合格率78.2%、出題科目は社会福祉士と共通科目を含む17科目
- 介護福祉士(第37回): 合格率78.3%、実務経験ルートが中心で筆記の負担は比較的軽い
精神保健福祉士・介護福祉士がいずれも70%台後半なのに対し、社会福祉士は60%台にとどまる。出題科目数の多さと、暗記量の多い制度系科目の存在が、難易度を押し上げる要因になっている。共通科目を持つ精神保健福祉士とのダブル受験を検討する受験生も一定数いる。
試験内容から見た難易度のポイント
社会福祉士国家試験は五肢択一を中心としたマークシート方式で出題される。範囲は年金・医療保険・生活保護といった社会保障制度から、相談援助の理論、権利擁護の仕組みまで多岐にわたる。制度の数値要件や改正年を正確に覚える必要があり、丸暗記だけでは対応しきれない科目も多い。この科目横断的な出題こそが、難易度を語るうえで欠かせないポイントだ。
合格率が低く見える理由—受験資格ルート別の内訳

社会福祉士の受験資格には、福祉系大学ルート・短期養成施設ルート・一般養成施設ルートの3つがある(詳細は厚生労働省の資格制度ページに一覧がある)。ルートによって学習に充てられる期間や既習内容が異なるため、体感する難易度にも差が出やすい。
福祉系大学で指定科目を履修したうえで受験する層は、19科目のうち多くをすでに大学の授業で学んでいる。一方、一般大学卒業後に相談援助業務の実務経験を積み、一般養成施設ルートで受験資格を得た層は、社会保障制度をゼロから独学で積み上げる必要がある。この差が、ルート別の難易度の感じ方を大きく左右する。
全体の合格率が60%程度でも、ルート別に見ると学習期間の短い層の合格率は相対的に低くなる。自分にとっての難易度を知るには、全体の合格率よりも同じルートの受験者データを確認するほうが実態に近い。受験票が届いたら、まず自分の受験資格ルートを確認しておくと学習計画が立てやすい。
実務経験ルートで合格した関口さんのケース
神奈川県内の高齢者福祉施設で生活相談員として8年間働いてきた関口美咲さん(38歳)は、経済学部出身で福祉の専門教育を受けずに社会福祉士を目指した一人だ。相談援助業務の実務経験を積んだうえで一般養成施設ルートを選び、通信講座と過去問演習を軸に1年間学習を続けた。
※ここで紹介する関口さんの体験は、複数の学習者の声をもとに構成した架空のケースです。
学習時間は平日1時間、週末3時間を目安にした。当初いちばん苦しんだのは、年金制度や医療保険といった社会保障科目の暗記量だった。試験3ヶ月前に受けた模試では合格基準点に10点届かず、想定していたより難易度が高いと感じて学習のやり方を見直す必要に迫られたという。
そこで関口さんは、暗記中心だった学習を制度の目的から理解する方式に切り替えた。過去問を解いて間違えた選択肢だけをノートにまとめ、通勤時間に読み返す習慣を作った。その結果、直前模試では合格ラインを上回るまでに伸び、本番でも大きく崩れることなく実力を出し切れた。
合格後は、勤務先の施設内で生活相談員から地域包括支援センターの相談員へ異動になった。担当できる業務の幅が広がり、月給はおよそ3万円上がったという。現在は日本社会福祉士会にも登録し、研修に参加しながらキャリアを広げている。
合格に必要な勉強時間と学習スケジュールの立て方

社会福祉士国家試験に必要な勉強時間は、福祉系大学で科目を履修済みかどうかによって大きく変わる。一般養成施設ルートで社会保障制度をゼロから学ぶ場合、目安として300時間前後が必要になることが多い。試験は例年2月上旬に実施されるため、逆算すると前年の春から学習を始める受験生が少なくない。半年前からなら1日1.5時間程度、1年前からなら1日45分程度のペースで、300時間に到達する計算になる。
科目数が多いからこそ、優先順位をつける
19科目すべてを均等に勉強しようとすると、直前期に時間が足りなくなりやすい。過去問を解いて出題頻度の高い科目から優先的に固め、暗記色の強い科目は直前1〜2ヶ月に回すという配分が効率的だ。科目ごとの難易度にばらつきがある以上、全部を同じペースで進めないことが重要になる。
独学と通信講座、どちらが向いているか
19科目という出題範囲の広さから、独学だけで合格を目指すのは決して楽ではない。ただし、実務経験があり制度への理解がある程度進んでいる受験生なら、市販の過去問題集を中心にした独学でも合格は可能だ。教材費を抑えたい場合は、最新版の過去問題集を1冊に絞り込む方法も有効だ。
一方、福祉分野の学習にブランクがある、または初めて社会保障制度を学ぶ場合は、通信講座を使うほうが遠回りを防げる。学習の優先順位や出題傾向を、教材側に整理してもらえるためだ。教材選びを誤ると体感の難易度が上がりやすいため、レビューや評判を確認してから選びたい。費用は独学が数千円〜1万円程度、通信講座は5〜10万円程度が目安になる。
通信講座を選ぶ際は、質問対応の有無・模試の回数・添削の頻度を事前に比較しておくと失敗が少ない。独学の場合も、過去問の解説だけで理解を止めず、制度の一次情報に定期的に当たる習慣を持つと安心だ。
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よくある質問(FAQ)
Q. 社会福祉士は何回落ちても再受験できますか?
A. 社会福祉士国家試験に受験回数の上限はない。何度でも再受験できるが、受験資格自体には期限がある養成施設修了ルートもあるため、事前に確認しておきたい。再受験に回数の縛りがない分、学習計画を練り直して次の試験に備える受験生も多い。
Q. 社会福祉士の難易度は他の福祉系資格と比べてどのくらい違いますか?
A. 合格率で比較すると、精神保健福祉士や介護福祉士より15〜20ポイントほど低く、難易度は明確に一段階高いといえる。出題科目数の多さが、この合格率の差を生む主な要因だ。
Q. 独学のみで合格した人はどのくらいいますか?
A. 公表された統計はないが、実務経験ルートの受験者を対象にした調査では、市販教材のみで学習した合格者も一定数存在する。通信講座利用者と比べると、学習期間が長くなる傾向がある。
まとめ
社会福祉士国家試験の合格率は第38回で60.7%まで上昇した。ただし19科目という出題範囲の広さと129点中78点前後という合格基準を踏まえると、難易度が高い試験であることに変わりはない。合格率の数字だけに安心せず、自分の受験資格ルートに応じた学習時間の目安を把握し、独学か通信講座かを早めに決めることが、合格への近道になる。
次のステップとして、まずは自分の受験資格ルートを確認し、通信講座の資料請求や模試の申し込みなど、具体的な行動に移してみてほしい。
合格率と難易度は試験回ごとに変動するため、最新の合格率と難易度の情報は必ず公式発表で確認しておきたい。前年の合格率だけで難易度を判断するのではなく、複数年の合格率の推移から難易度の傾向をつかむ視点が欠かせない。