通関士の受験資格は?学歴・年齢不問で誰でも受験できる

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「高卒で貿易の仕事もしたことがないけれど、通関士の試験って受けられるのだろうか」。転職を考えて資格を調べ始めると、まず気になるのが受験資格の有無です。結論から言うと、通関士試験に受験資格の制限はありません。学歴・年齢・国籍・実務経験を問わず、願書を出せば誰でも受験できます。

この記事では、税関の公式情報をもとに、通関士の受験資格・第60回試験の日程・実務経験者の科目免除・合格後に必要な「確認」の手続きまでを整理しました。高卒・物流未経験から合格した森下さん(32歳)のケースも交えて、受験資格がないからこそ知っておきたい注意点を紹介します。

※ここで紹介する森下さんの体験は、複数の受験者の声をもとに構成した架空のケースです。

通関士の受験資格は「なし」|学歴・年齢・実務経験は不問

person filling out exam application form at desk

通関士試験は財務省の税関が年1回実施する国家試験で、受験資格は設けられていません。大学を出ていなくても、貿易会社に勤めた経験がなくても受験できます。年齢の上限・下限もないため、学生のうちに挑戦する人もいれば、定年前後に受験する人もいます。日本国籍を持たない人も同じ条件で出願可能です。

この間口の広さは、国家資格の中では珍しい部類に入ります。たとえば社会保険労務士は、大学卒業などの学歴か一定の実務経験、あるいは指定試験の合格のいずれかがないと受験できません。通関士は宅建士や行政書士と同じく、受験資格を問わず誰でも挑戦できる国家資格です。

森下さんが最初につまずいた「受験資格」の誤解

森下さんは高校卒業後、アパレル店で10年近く販売員として働いていました。物流倉庫の事務に転職した29歳のとき、職場の先輩から通関士の話を聞いたのが受験のきっかけです。最初は「国家資格だから大卒か実務経験が必要だろう」と思い込み、半年ほど調べもせずに諦めていたといいます。

税関の受験案内を読んで受験資格がないと知ったのは、30歳になってからでした。「もっと早く確認すればよかった」というのが本人の感想です。受験資格がないことを知らずに機会を逃している人は少なくないため、まずは公式の情報で確かめる習慣をつけましょう。

第60回(2026年)通関士試験の概要と申込の流れ

受験資格がない代わりに、出願できる期間は毎年約2週間と短く設定されています。第60回試験(令和8年)の日程と概要は次のとおりで、試験はすでに10月4日に終了しました(出典:税関「第60回通関士試験(令和8年)」)。

項目 内容
受験申込受付 2026年7月21日(火)〜8月4日(火)
試験日 2026年10月4日(日)
合格発表 2026年11月10日(火)税関ホームページに掲載
官報掲載 2026年11月20日(金)
受験手数料 3,000円
試験科目 通関業法(50分・45点)/関税法等(100分・60点)/通関実務(140分・45点)
合格基準 3科目それぞれで満点の60%以上(原則)
試験地 全国9税関(函館・東京・横浜・名古屋・大阪・神戸・門司・長崎・沖縄地区)が指定する会場

次回(第61回・2027年)を狙うなら7月が勝負

次の第61回試験は、例年どおりなら2027年7月上旬に官報で公告され、7月下旬から8月上旬に願書を受け付ける見込みです。試験日は10月上旬の日曜日になる可能性が高いでしょう。受付期間を1日でも過ぎると、どれだけ勉強していても1年待つことになります。6月末には税関のサイトを確認し、受験案内と願書の様式を手元にそろえておくと安心です。

願書の出し方と注意点

受験願書は、受験案内に沿って税関へ提出します。第60回からは願書の様式が税関のホームページにも掲載されるようになりました。写真の規格や手数料の納付方法は年度によって細かく変わることがあるため、前年の情報をうのみにせず最新の受験案内を必ず読みましょう。受験地は出願時に決めるため、会場までの交通手段も合わせて確認しておくと当日慌てずに済みます。

実務経験がある人は科目免除を受けられる

customs officer inspecting cargo container at port

受験資格は不要ですが、通関の実務経験がある人には試験科目の一部免除という優遇があります。根拠は通関業法第24条で、経験年数に応じて免除される科目が変わります(出典:税関「8009 通関士試験科目の一部免除」)。

通算15年以上:関税法等・通関実務の2科目が免除

通関業者での通関業務、または官庁で関税・通関に関する事務に通算15年以上従事した人は、「関税法等」と「通関実務」の2科目が免除されます。残るのは通関業法の1科目だけです。第59回試験では、この2科目免除者177人のうち119人が合格し、合格率は67.2%でした(出典:税関「第59回通関士試験の結果」)。

通算5年以上:通関実務の1科目が免除

通関業者の通関業務、または税関で貨物の通関事務に通算5年以上従事した人は、「通関実務」が免除されます。通関実務は試験時間が140分と最も長く、申告書の作成や課税価格の計算を含む科目です。ここが免除されるだけでも、学習の負担はかなり軽くなります。

注意したいのは、自分の判断を伴わない機械的な事務は経験年数に含まれない点です。単なるパソコンへの入力作業や書類の使送、貨物の内容点検などは対象外とされています。通関業者で働いていても、担当業務によっては免除を受けられない場合があります。

免除申請の手続き

免除を受けたい人は、「通関士試験科目の一部免除申請書」(税関様式B-1210)を用意します。これに勤務先の通関業者などが証明した「証明書」(税関様式B-1215)を添えて提出します。提出期間は受験願書の受付期間と同じで、願書と一緒に税関へ出す決まりです。審査に時間がかかるため、受付開始後なるべく早く出すよう税関も案内しています。結果は受験票とともに通知されます。

合格しても「通関士」を名乗るには勤務先と確認が必要

受験資格の面では誰にでも開かれている一方、合格後に通関士として働くには条件があります。試験に合格しただけの段階では「通関士試験合格者」であり、通関士として業務を行うには次の3段階を踏む必要があります。

  1. 通関士試験に合格する(合格に有効期限はない)
  2. 通関業の許可を受けた通関業者に勤務する
  3. 勤務先の通関業者が申請し、財務大臣の確認を受ける(手続きの窓口は税関)

この「確認」の仕組みは通関業法第31条に定められています(出典:e-Gov法令検索「通関業法」)。受験には制限がなくても、確認の段階では欠格事由が審査されます。破産手続開始の決定を受けて復権を得ていない人や、一定の刑罰を受けてから3年を経過していない人などは、確認を受けられません。

森下さんは第59回試験に合格した翌年1月、港湾地区の通関業者に転職しました。入社3か月後に勤務先が確認の手続きを行い、通関士として輸入申告の審査に携わるようになっています。資格手当として月1万円が加わり、前職の倉庫事務より年収は約40万円上がりました。

受験資格がない=簡単ではない|未経験から合格するための準備

woman studying with textbook at night desk

誰でも受験できる試験ですが、合格率は例年10〜20%台にとどまります。第59回は受験者6,322人に対して合格者954人、合格率15.1%でした。免除を受けずに3科目を受けた人に限ると、合格率は13.9%まで下がります。受験資格のハードルがない分、試験そのもので実力がふるいにかけられる構造です。

森下さんの学習期間は約9か月、総学習時間は520時間ほどでした。市販のテキスト1冊と過去問題集5年分を軸に、平日は通勤時間と夜に1時間半、休日は4時間を確保したそうです。本番の得点は通関業法38点、関税法等42点、通関実務30点で、3科目とも合格基準を上回りました。

最も苦労したのは通関実務の計算問題でした。学習3か月目の模試では通関実務が45点中15点で、課税価格の計算で何度も手が止まったといいます。そこで計算問題だけを毎日2問ずつ解く習慣に切り替え、2か月で解答時間を半分に縮めました。未経験者は実務のイメージが湧きにくいので、申告書の項目を図で整理しながら覚えるのが近道です。

独学で進めるか通信講座を使うかは、確保できる学習時間で判断するとよいでしょう。科目別の進め方や教材の選び方は、下記の記事で詳しくまとめています。

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通関士の受験資格に関するよくある質問

高校生や大学生でも通関士試験を受験できますか?

受験できます。通関士試験には年齢や学歴の受験資格がないため、在学中の学生も社会人と同じ条件で出願可能です。物流・商社業界への就職を目指す大学生が、就職活動の前に合格を狙うケースもあります。

貿易や物流の実務経験がなくても合格できますか?

実務経験は受験資格にも合格要件にも含まれないため、未経験でも合格は十分に可能です。実務経験者は科目免除で有利になりますが、全科目を受ける未経験者も毎年多く合格しています。実務のイメージをつかむために、輸入申告書のサンプルを早めに見ておくと理解が進みます。

外国籍でも通関士試験を受験できますか?

国籍による受験資格の制限はないため、外国籍の人も受験できます。ただし試験問題は日本語で出題され、法令用語も多く使われます。日本語の法律文書を読みこなす力が合格の前提になる点は理解しておきましょう。

一度合格すれば有効期限はありますか?

通関士試験の合格に有効期限はありません。合格後すぐに通関業者へ就職しなくても、数年後に転職したタイミングで確認を受けることができます。ただし科目合格の制度はないため、1科目でも基準点に届かなければ翌年は3科目すべてを受け直す必要があります(免除対象者を除く)。

まとめ

通関士の受験資格には学歴・年齢・国籍・実務経験の制限がなく、受験手数料3,000円を納めれば誰でも挑戦できます。通関業務に5年以上従事した人は通関実務、15年以上なら関税法等と通関実務の2科目が免除される仕組みもあります。合格後に通関士として働くには、通関業者に勤めて財務大臣の確認を受ける流れになります。

受験資格のハードルがないぶん、合否は試験の実力だけで決まります。次の第61回試験は2027年7月下旬ごろの出願が見込まれるため、今から勉強を始めれば9か月以上の準備期間を確保できます。まずは税関の受験案内に目を通し、自分に合った学習計画を立てるところから始めてみてください。

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