「情報セキュリティマネジメント試験を取ってほしい」と上司に言われたものの、IT用語に自信がなく何から手をつければいいか分からない。そんな不安を抱えたまま検索している社会人は少なくありません。
※本記事で紹介するT.Kさん(32歳)の体験は、複数の学習者の声をもとに構成した架空のケースです。学習期間や教材、スコアなどの数値は実際の合格者の傾向を反映しています。
T.Kさんは一般事務職から社内システム担当に異動になり、ITパスポート未取得のまま情報セキュリティマネジメント試験(SG試験)の受験を命じられました。仕事の合間に独学で対策し、2ヶ月で合格しています。この記事では、その学習の進め方を軸に、独学で合格するために必要な勉強時間・教材・スケジュールを具体的に解説します。
なぜ情報セキュリティマネジメント試験は独学で十分合格できるのか
この試験は、国家資格の中でも独学向きの試験です。理由は主に3つあります。
1つ目は合格率の高さです。IPA(情報処理推進機構)が公表する試験統計では、情報セキュリティマネジメント試験の合格率はおおむね60〜70%台で推移しています。他の国家資格と比べても間口が広い試験です。
2つ目は出題範囲のコンパクトさです。応用情報技術者試験のように開発技法や経営戦略まで広く問われることはなく、情報セキュリティとその周辺の法務知識に絞られています。
3つ目は公開問題の存在です。IPA公式サイトでサンプル問題と過去の試験問題が無料公開されており、参考書を買う前に自分のレベル感を把握できます。
これら3つの理由から、まとまった学習時間を確保しにくい社会人でも計画的に取り組めば十分合格を狙える試験だといえます。
合格に必要な勉強時間の目安

必要な勉強時間は前提知識によって差が出ます。目安は以下の通りです。
| 前提知識 | 目安勉強時間 | 1日2時間なら |
|---|---|---|
| IT未経験・知識ゼロ | 約200時間 | 約3〜4ヶ月 |
| ITパスポート合格済み | 約120〜150時間 | 約2〜2.5ヶ月 |
| IT部門での実務経験あり | 約80〜100時間 | 約1.5ヶ月 |
T.Kさんはこの中間に近く、ITパスポート未取得ながら業務でIT用語に触れる機会があったため、150時間弱を2ヶ月間で積み上げて合格ラインに到達しました。平日1時間、休日3〜4時間というペースです。
自分の前提知識がどの区分に近いか判断に迷う場合は、IPA公式サイトの公開問題を1回分解いてみると目安になります。正答率が5割を超えていれば「実務経験あり」に近いペースで学習を進めても大きな支障はありません。逆に3割を下回るようであれば、IT未経験の区分を基準に余裕を持った計画を立てるほうが安全です。
独学ロードマップ:2ヶ月で合格した学習スケジュール
前半1ヶ月はインプット中心、後半は過去問演習に切り替える
学習計画はインプットとアウトプットの配分が肝心です。参考書を完璧に理解してから過去問に進もうとすると、時間切れになりやすい落とし穴があります。T.Kさんが実践したスケジュールは次の通りです。
| 週 | 取り組み内容 | 週あたり学習時間 |
|---|---|---|
| 1〜2週目 | 市販テキストを通読し、章末問題で用語を確認 | 約12時間 |
| 3〜4週目 | テキスト2周目と並行して午前問題を解き始める | 約15時間 |
| 5〜6週目 | 午前問題を9割正答できる分野まで反復し、午後問題に着手 | 約18時間 |
| 7〜8週目 | 午後の記述式問題を中心に演習し、直近の公開問題で総仕上げ | 約20時間 |
T.Kさんが最初につまずいたのは、7週目に取り組んだ午後試験の記述式問題でした。知識はあっても「設問の意図に沿って過不足なく書く」型ができておらず、模範解答との差に戸惑ったといいます。過去問道場で同じ形式の設問を10問以上繰り返し解き、解答の型を体に覚えさせることで克服し、本番では午前90%・午後80%というスコアで合格しました。
おすすめ教材と過去問の使い方

教材選びで悩む必要はありません。独学合格者の多くは市販テキスト1冊と無料の過去問サイトの組み合わせで十分だと述べています。
テキストは章末に模擬問題が付いているものを選び、通読は1回で切り上げます。知識の定着は過去問演習に任せる方が効率的です。情報セキュリティマネジメント試験ドットコムでは年度別・分野別に過去問を無料で解くことができます。間違えた問題だけを繰り返し復習する機能もあるため、通勤時間などのスキマ時間との相性も良好です。
目安としては直近3〜5年分の過去問を解いておくと、出題傾向の変化にも対応しやすくなります。1年分をまず解いてみて、正答率が7割に届かない分野があれば、その分野だけテキストに戻って読み直すという進め方が効率的です。
午前・午後試験の得点戦略
重点分野は情報セキュリティ分野と法務分野
午前試験は多肢選択式で、情報セキュリティ分野からの出題が全体の半分近くを占めます。ここを落とすと挽回が難しいため、最優先で固めるべき範囲です。次に配点が大きいのが法務分野で、個人情報保護法や不正アクセス禁止法など、条文の趣旨を問う問題が繰り返し出題されます。
午後試験は長文の事例を読んで解答する記述式です。時間配分を誤ると最後まで解ききれないため、まず設問文に目を通してから本文を読む順序に慣れておくと安定します。T.Kさんは過去問演習の段階で1問あたりの制限時間を計り、本番の時間切れを防いでいます。
テクノロジ系の基礎用語に不安がある場合は、午前試験の過去問を分野別に絞って繰り返すと得点が安定しやすくなります。分野を横断して解くより、1分野を連続して解いたほうが用語の定着が早いという声も多く聞かれます。
忙しい社会人のためのスキマ時間活用術

残業や家事に追われる中でまとまった学習時間を確保するのは容易ではありません。T.Kさんが実践したのは、学習内容を「まとまった時間が必要なもの」と「細切れでもできるもの」に分ける工夫です。
過去問演習はスマートフォンアプリで通勤中に、記述式の答案作成は休日にまとめて行うというように、場所と時間に合わせて教材を使い分けました。その結果、平日でも学習を止めずに済みました。
音声教材やスマホアプリの読み上げ機能を使い、通勤中は「聞く学習」に切り替えるという方法も有効です。目や手がふさがっていても知識のインプットを続けられるため、まとまった時間が取れない平日でも学習のペースを落とさずに済みます。
細切れの学習を積み重ねる際は、その日に取り組んだ範囲を簡単にメモしておくと、週末にまとめて振り返るときの目印になります。
合格後のキャリアへの活かし方
合格後、T.Kさんは社内のセキュリティ研修担当を任されるようになり、システム部門での業務範囲が広がりました。この資格は経営層と現場をつなぐ知識を証明できるものであるため、非エンジニア職からのキャリアアップにもつながりやすい特徴があります。
特に非エンジニア職からのキャリアチェンジを考えている場合、情報システム部門への異動やセキュリティ関連の社内プロジェクトへの参加といった実務機会につながりやすい特徴があります。上位資格である情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)へのステップアップを見据える人にとっても、最初の足がかりとして位置づけやすい試験です。
取得後すぐに資格手当や昇給に直結するとは限りませんが、社内での役割の幅が広がりやすい点は独学で取り組む動機として大きいといえます。
よくある質問
ITパスポートを先に取ってから受験すべきですか
必須ではありません。ITパスポートは出題範囲が経営全般まで広く、情報セキュリティマネジメント試験とは重なる部分が限定的です。IT用語に強い不安がある場合は基礎固めとして役立ちますが、時間が限られているならSG試験の教材からいきなり始めても十分間に合います。
CBT方式になって出題や難易度は変わりましたか
試験形式がCBT(テストセンターでのパソコン受験)になり、通年で好きな日程を選べるようになりました。出題内容や難易度の傾向は紙の試験時代と大きく変わっていません。ただし公開されている過去問はCBT導入前のものが中心のため、直近の出題傾向はIPA公式サイトのシラバス更新情報もあわせて確認しておくと安心です。
1ヶ月の短期間でも合格できますか
実務でIT用語に日常的に触れている人であれば、1ヶ月・80〜100時間程度でも合格ラインに届くケースがあります。ただしT.Kさんのように非エンジニア職からのスタートであれば、法務分野の暗記量も考慮して2ヶ月程度を見込んでおく方が無理がありません。
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まとめ
情報セキュリティマネジメント試験は、合格率の高さと出題範囲の狭さから独学に向いた資格です。ITパスポート未取得でも、インプットとアウトプットの配分を意識した2ヶ月程度の計画があれば十分に合格ラインへ届きます。
特別な前提知識がなくても、正しい順序で学習を積み重ねれば取得できる資格です。学習範囲や時間配分に不安がある場合は、今回紹介したスケジュール例を出発点にして、自分の生活リズムに合わせて調整してみてください。
大切なのは完璧を目指すことではなく、インプットとアウトプットを繰り返しながら合格ラインまで着実に積み上げることです。
まずは公開されている過去問を1年分解き、自分の現在地を把握するところから始めてみてください。