「合格率20%——本当に受かるの?」と不安を感じているなら、まずその数字の意味を正しく理解することが大切です。
ケアマネ試験を受けられる人は、すでに5年以上の実務経験を持つ介護・福祉・医療の専門職に限られています。つまり「全国民の中の20%」ではなく、経験豊富な専門職の中の20%です。それでも低い合格率であることは事実ですが、学習計画を立てて取り組んだ人の合格率はもっと高い。
この記事では、ケアマネ試験の難易度の実態・職種別の勉強時間目安・試験科目の攻略法・10月の試験日から逆算した月別スケジュールを解説します。
【合格者インタビュー】介護福祉士・田中さん(仮名・42歳女性)
特別養護老人ホームで10年勤務後、2024年度(第27回)試験を初受験で合格。総勉強時間は約160時間。翔泳社の「ケアマネジャー完全合格テキスト」1冊と中央法規の過去問集を使用した。
平日は通勤電車(往復40分)での一問一答アプリのみ、週末に2〜3時間まとめて過去問演習を行い、週9〜10時間を確保した。8月に職場の人事異動が重なり机学習ができない3週間があったが、スキマ学習は途切れなかった。9月に過去問5年分を集中的に回し直して乗り切り、苦手だった医療系の問題は間違いノートを試験当日の朝まで確認した。合格後は居宅介護支援事業所に転職し、年収が約60万円アップした。
ケアマネ試験の難易度と合格率の実態
直近の合格率は18〜21%で推移
ケアマネジャー試験(介護支援専門員実務研修受講試験)の合格率は、ここ数年18〜21%で推移しています。
| 年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 2021年度(第24回) | 54,290人 | 12,662人 | 23.3% |
| 2022年度(第25回) | 54,406人 | 10,328人 | 19.0% |
| 2023年度(第26回) | 56,034人 | 11,844人 | 21.1% |
| 2024年度(第27回) | 55,996人 | 10,628人 | 19.0% |
出典: 厚生労働省「介護支援専門員(ケアマネジャー)」の試験実施状況データをもとに作成。
年によって数%の振れ幅がありますが、20%前後が続いています。5人に1人が合格する試験——いっぽうで、きちんと準備した人が受かり、準備が不十分な人が落ちるという性質の試験でもあります。
合格率が低い3つの構造的な理由
ケアマネ試験が難しいと言われる理由は主に3つあります。
①出題範囲が広い
介護支援分野(25問)と保健医療・福祉サービス分野(35問)の計60問が出題されます。法改正への対応も必要で、毎年制度の変更を反映した最新情報が問われます。
②分野別に合格基準点がある
総合点だけでなく、各分野ごとに基準点をクリアしないと不合格になります。「得意な分野でカバー」が効かないため、全分野をバランスよく仕上げる必要があります。
③実務と並行して学ぶ人が多い
受験者の多くは現役の介護・医療従事者です。週5日フルタイムで働きながら試験勉強をする環境が、合格率を押し下げる要因の一つです。
必要な勉強時間の目安【職種別に解説】
「100〜200時間」とよく言われますが、その幅が生まれる理由は出発点の違いです。保健医療分野の知識がある職種ほど勉強時間を短縮できます。

介護福祉士・介護士(施設/訪問)
介護支援分野は業務経験が直接役立つため比較的有利です。ただし保健医療・福祉サービス分野は医療的知識が必要で、ここをどれだけ仕上げられるかが勝負になります。
- 目安勉強時間: 150〜200時間
- 特に注力すべき: 医療系の疾患・薬・リハビリ分野
看護師・准看護師
保健医療分野の基礎知識が豊富なため、その分野は短時間でカバーできます。一方、介護保険制度・支援計画(ケアプラン)作成など介護特有の知識は新たに学ぶ必要があります。
- 目安勉強時間: 100〜150時間
- 特に注力すべき: 介護保険法・給付管理・ケアプランの書式
社会福祉士・社会福祉主事
福祉サービス分野の知識は豊富ですが、医療系の知識は介護福祉士と同様に弱い傾向があります。制度・法律分野は比較的スムーズに理解できます。
- 目安勉強時間: 120〜170時間
- 特に注力すべき: 医療系疾患・感染症・薬剤知識
1日の勉強時間別 期間の目安
| 1日の勉強時間 | 週の合計 | 150時間到達 | 200時間到達 |
|---|---|---|---|
| 1時間 | 約7時間 | 約21週(5ヶ月) | 約29週(7ヶ月) |
| 1.5時間 | 約10時間 | 約15週(3.5ヶ月) | 約20週(5ヶ月) |
| 2時間 | 約14時間 | 約11週(2.5ヶ月) | 約14週(3.5ヶ月) |
休日にまとめて学習できる人は、平日1時間+休日3〜4時間という配分で週10〜12時間確保するのが現実的です。
ケアマネ試験の概要——科目・配点・合格基準
2つの分野と出題数
試験は大きく2つの分野に分かれています。
| 分野 | 出題数 | 主な内容 |
|---|---|---|
| 介護支援分野 | 25問 | 介護保険制度・ケアマネジメント・給付管理 |
| 保健医療・福祉サービス分野 | 35問 | 疾患・リハビリ・薬・福祉サービスの種類 |
出題形式は五肢複択方式(5つの選択肢から2〜3つの正解を選ぶ)で、マークシート式ですが単純な暗記では対応しにくい設計になっています。
分野別基準点制度の攻略法
合格するには、各分野で設定された基準点をそれぞれクリアする必要があります。基準点は「正答率70%程度」を目安に設定されることが多く、年度によって変動します。
得意分野だけを伸ばしてもダメという点が、ケアマネ試験の最大の難しさです。介護支援分野が得意な介護福祉士でも、保健医療分野で基準点を下回れば不合格になります。
戦略としては、まず苦手分野を「足切り回避」レベルまで引き上げてから、得意分野を固める順番が効果的です。
効果的な勉強法3つ
過去問を「解いて終わり」にしない
ケアマネ試験は過去問からの類似出題が多く、過去5年分の問題を繰り返すことが基本戦略です。ただし、間違えた問題をそのままにするのが最大のNGです。
おすすめの手順はこのとおりです。
- 問題を解く(時間は気にしない)
- 不正解の選択肢を一つずつテキストで確認する
- 3〜4日後に同じ問題を再度解く
- 正答率80%以上になったら次の問題セットへ
苦手科目を序盤に潰す
多くの受験者が犯すミスは「得意なところから始めてモチベーションを上げようとすること」です。試験直前に苦手分野が残ると間に合わなくなるリスクが高まります。
学習開始後1〜2ヶ月は、意識的に保健医療分野の医療系科目(疾患・リハビリ・薬)に時間を配分しましょう。この分野は暗記量が多く、早い段階から繰り返すほど定着します。
通勤・休憩でスキマ学習を積む
フルタイム勤務の人が「毎日2時間の机学習」を維持するのは現実的ではありません。1日15〜20分のスキマ学習を積み重ねる意識が重要です。
- 通勤電車: 一問一答アプリ(往復30分で10問×2セット)
- 昼休み: テキストの1セクションをさらっと読む
- 就寝前10分: その日の間違いノートを見返す
これだけでも週5日積めば、週3.5〜4時間に相当します。
10月試験から逆算する月別スケジュール

ケアマネ試験は例年10月の第2日曜日に実施されます。5月から勉強を始めると約5ヶ月の学習期間が確保できます。
| 時期 | 学習フェーズ | やること |
|---|---|---|
| 4〜5月(開始期) | 全体把握 | テキストを通読し、試験の全体像を把握する。苦手分野をリストアップする |
| 6〜7月(インプット) | 基礎固め | テキストを分野別に精読。保健医療分野に重点配分。一問一答で知識確認 |
| 8月(過去問演習) | アウトプット | 過去5年分の過去問を解く。正答率を記録し、弱い単元を再インプット |
| 9月(総仕上げ) | 弱点潰し | 模擬試験を2〜3回実施。時間配分を体で覚える。間違いノートの最終確認 |
| 10月(直前期) | 確認のみ | 新しいことを始めない。間違いノートと苦手単元を繰り返し確認する |
3月から始めると約7ヶ月確保できるため、より余裕を持って取り組めます。職種によって必要時間が異なるため、自分の目安時間から逆算して開始月を決めましょう。
おすすめ参考書・問題集
基礎固めにおすすめのテキスト
参考書は「コンパクトなもの1冊+問題集1冊」の組み合わせが最も効率的です。分厚い参考書を複数冊買うと消化不良になりやすいため、1冊を完璧にすることを目指しましょう。
- 「福祉教科書 ケアマネジャー完全合格テキスト」(翔泳社): 解説が丁寧で法改正対応も速い。初学者向け
- 「ケアマネジャー試験ワークブック」(中央法規): 分野別に分冊できる構成で持ち運びやすい
過去問演習
- 「ケアマネジャー試験過去問解説集」(中央法規): 最新5年分を収録。解説が詳しく、なぜ間違いかまで理解できる
- ケアマネジャー試験対策アプリ: スキマ時間に特化。一問一答形式で隙間時間を活用しやすい
参考書とアプリを組み合わせることで、机学習とスキマ学習の両方をカバーできます。
まとめ:勉強時間を正しく見積もって計画を立てる
- 合格率20%前後という難易度——ただし受験資格のある専門職の中での数字。しっかり準備すれば合格できる
- 職種別の目安: 介護福祉士150〜200時間 / 看護師100〜150時間 / 社会福祉士120〜170時間
- 分野別基準点制度があるため、苦手分野を先に潰す戦略が有効
- 10月試験なら4〜5月開始が理想。3月スタートで余裕をもった計画も可能
- 通勤・昼休みのスキマ学習を活用し、週10時間を目指す
仕事を続けながら合格した人に共通するのは「無理に長時間学ぶのではなく、毎日15分でも続けた」という点です。まず1日1時間から始め、ペースが掴めたら増やしていくのが長続きするコツです。