保育士試験の難易度と合格率|独学で受かる人の条件と科目別攻略法

「独学でいけるって書いてあるけど、合格率20%って低くない?」子育て中に保育士試験を目指し始めた当初、正直そう思いました。通信講座に5〜10万円かける前に、自分で勉強しても本当に受かるのか確かめたかった。

この記事では保育士試験の実際の合格率・科目別の難易度・独学が失敗する理由を具体的な数字で整理します。同じく2児の母として保育士試験に独学合格した鈴木ゆかりさん(32歳・元一般事務)の体験談も盛り込んでいます。

女性がデスクでテキストを広げてノートを取っている様子

保育士試験の合格率は何%?独学でも狙えるリアルな数字

全国平均合格率(直近5年)

年度 受験者数 合格者数 合格率
2023年度 約81,000人 約21,800人 26.9%
2022年度 約79,000人 約18,500人 23.4%
2021年度 約83,000人 約20,000人 24.2%
2020年度 約44,000人 約11,000人 24.3%
2019年度 約68,000人 約18,000人 26.4%

出典: 全国保育士養成協議会「保育士試験について」

5年平均で約25%。「4人に1人しか受からない試験」と聞くと怖く感じますが、この数字には1〜2科目だけ残っていた人・ほぼ無勉強で受けた人も含まれます。準備が整った受験者に限ると合格率はぐっと上がります。

独学と通信講座で合格率は変わるか

通信講座各社の公表データでは合格率40〜70%台を掲げているところもありますが、これはサポートを受けながら真剣に取り組んだ受講者の数字です。独学でも同じ真剣さで取り組めば、遜色ない合格率が狙えます。

独学が不利になるのは次の2点のみです。

  • 最新の法改正情報を自分でキャッチアップしなければならない
  • 実技試験(音楽・造形)の添削サポートがない

9科目を難易度順に並べると見えてくる攻略ルート

保育士筆記試験は9科目で構成されます。各科目100点満点(2問のみ10点満点)で全科目6割以上が合格条件です。難易度を整理すると、攻略の優先順位が見えてきます。

難易度 科目名 特徴
★★★★★(最難) 教育原理・社会的養護 セット科目。各10点満点で両方6点以上が必要。どちらか1つでも落としたら2科目とも翌年再受験。暗記量が多く出題傾向が読みにくい
★★★★☆ 子どもの保健 医学・発達・感染症など幅広い。数値の暗記が必要
★★★★☆ 子ども家庭福祉 法律・制度の出題が多く、改正情報への対応が必要
★★★☆☆ 保育の心理学 発達理論の人名と概念の暗記。過去問パターンが比較的安定
★★★☆☆ 社会福祉 範囲が広いが、社会保障制度の仕組みを掴めばパターンがある
★★★☆☆ 保育原理 保育所保育指針が頻出。指針を読み込めば得点源になる
★★☆☆☆ 子どもの食と栄養 栄養素・調理・離乳食が中心。数値暗記は必要だが範囲が絞りやすい
★★☆☆☆ 保育実習理論 楽典・造形・言語の基礎知識。暗記より理解で点が取れる

最優先は「教育原理・社会的養護」の攻略です。このセット科目で1つでも落とすと翌年2科目とも再受験になります。残りの7科目を一発で合格できても、このセットを落とし続けると合格が遠のきます。

子供が寝ている間に勉強する母親の様子

独学で何時間かかる?勉強期間の現実的な目安

一般的に保育士試験の勉強で必要とされる時間は100〜150時間。「1日1時間で5ヶ月」が目安です。ただし、これは基礎から始める人の数字で、子育て・仕事と並行する場合は8〜10ヶ月見ておく方が現実的です。

1日のスキマ時間だけで間に合うか

下記のスケジュールで150時間を積み上げると約8ヶ月になります。

時間帯 勉強内容 目安時間
子の昼寝中(13〜15時) テキスト読み込み・ノートまとめ 45分
就寝後(21〜22時) 過去問演習 30分
通勤・移動中(スマホ) アプリで1問1答 15分

1日90分 × 週5日 = 月30時間。5ヶ月で150時間に到達します。毎日コンスタントに取れない日もあるので、7〜8ヶ月のバッファを持つのが現実的です。

2回受験が「独学の正解」:科目合格制の使い方

保育士試験には科目合格制度があります。合格した科目は3年間有効で、翌年以降は不合格科目だけを再受験できます。これを活かした2回受験戦略が独学での確実な合格法です。

1回目で集中させる科目・後回しにする科目

受験回 集中させる科目 理由
1回目(前半戦) 教育原理・社会的養護・子どもの保健・子ども家庭福祉 難易度が高く対策に時間がかかる科目を先に攻める。不合格でも2回目に持ち越せる
1回目(同時並行) 保育実習理論・子どもの食と栄養 比較的短期間で得点できる。1回目で一気に仕留める
2回目(後半戦) 1回目に落とした科目のみ 絞って集中できるため合格しやすい

鈴木ゆかりさんも1回目に9科目すべて受験し、5科目合格。「教育原理と社会的養護はセットで落としました。でも5科目合格で手応えが出て、2回目は残り4科目に絞って集中できた」と振り返ります。

独学失敗パターン3つと、その対策

失敗パターン1:教育原理・社会的養護を甘く見る
各10点満点で6点が合格ライン。「1問2点で3問正解すればいい」と思うと痛い目を見ます。問題数が少ないため1問のミスが致命的です。この2科目に全体の学習時間の20%以上を配分してください。

失敗パターン2:過去問だけで本試験に挑む
保育士試験は法改正・制度改正に連動した出題が多く、3〜5年前の過去問だけでは対応できない問題が必ず出ます。最新テキストで制度の骨格を理解した上で過去問演習という順番が鉄則です。

失敗パターン3:実技試験を後回しにしすぎる
筆記に合格してから実技対策を始める人が多いですが、音楽(ピアノ・ギター)の素地がない場合は筆記勉強と並行して練習を始める必要があります。実技は不合格でも翌年に持ち越せますが、そこでさらに1年伸びてしまいます。

【体験談】元事務員・鈴木ゆかりさん(32歳)が8ヶ月で合格した方法

鈴木ゆかりさんは0歳と3歳の子を持ちながら、独学で保育士試験に合格しました(1回目:5科目合格・2回目:残り4科目合格)。

「最初の3ヶ月はユーキャンのテキストを1科目ずつ読んで、赤シートで暗記。次の3ヶ月は過去問集を3周しました。教育原理と社会的養護だけは別冊でノートを作って、毎朝子どもが起きる前の30分に見直す習慣にしました」

「1回目の試験後、教育原理と社会的養護のセットを落としたとき本当に凹みました。でもそこで諦めなかったのは、5科目合格という事実があったから。2回目は2科目に絞れたので精神的にも楽でした」

合格後は近所の認可保育園にパートで採用され、資格手当含めて月収が3万円アップ。「子どもを預けながら働けて、資格があることで交渉力も変わった」と話します。

独学 vs 通信講座、どちらが自分に向いている?

独学 通信講座
費用 2〜3万円(テキスト・過去問) 5〜12万円
学習ペース 完全自由 カリキュラム管理あり
法改正対応 自分で調べる必要あり テキストが自動更新
実技対策 独学・YouTube活用 添削あり
質問・サポート なし 講師・フォーラムあり
向いている人 自己管理できる人・費用を抑えたい人 スケジュール管理が苦手・実技に不安がある人

保育士試験を独学で合格できる人の条件は「週5時間以上確保できる・1人で進捗を管理できる・実技科目(音楽)の素地がある」の3つが揃っていることです。これが1つでも欠ける場合、通信講座の方がトータルコスト(お金+時間)が下がる可能性があります。

おすすめテキスト・教材(2026年版)

  • ユーキャンの保育士速習テキスト(上・下):内容が平易で読みやすく、初学者でも取り組みやすい。毎年改訂。
  • 福祉教科書 保育士完全合格テキスト:試験頻出ポイントをコンパクトに凝縮。情報密度が高い。
  • 保育士過去問題集(成美堂出版):5〜6年分の解説付き過去問。科目別に分かれているので苦手科目への集中投下が可能。
  • スマホアプリ「保育士 資格試験」:隙間時間の1問1答に最適。無料で使える範囲でも十分。

保育士試験のテキストは必ず受験年度版を購入してください。保育所保育指針や子ども・子育て支援法は改訂が続いており、古いテキストは出題に対応できない設問が出てきます。

まとめ:独学合格は「仕組み」で決まる

保育士試験の全国合格率は約25%ですが、準備が整った受験者の合格率はこれより高い数字です。独学での合格で重要なのは次の3点です。

  • 教育原理・社会的養護のセット科目を最優先で攻略する
  • 科目合格制度を活かした2回受験を最初から計画に組み込む
  • 1日90分を確保できる生活パターンに合ったルーティンを設計する

費用を抑えたい・自分のペースで進みたいなら独学は十分に有効な選択肢です。ただし、実技試験の添削サポートや最新法改正のフォローが必要と感じたら、通信講座も視野に入れてみてください。