FP3級に合格して2級へ進もうとしたら、試験がCBTに切り替わっていた。過去問が公開されないと聞いて、何を解けばいいのか分からなくなった人も多いはずです。結論から言うと、FP2級の過去問対策は今でも有効です。ペーパー試験時代の過去問で論点を固め、CBT形式の模試で操作と時間配分に慣れる二段構えにすれば、演習量で困ることはありません。
メーカーで経理を担当する佐藤さん(34歳)も、同じ不安を抱えていた一人です。きんざいの公開過去問PDFと市販の過去問題集、CBT対応の予想模試を組み合わせ、約4か月・150時間の学習で合格しました。初回の模試では学科33点(60点満点)と合格ラインの36点に届かず、一度は受験の延期も考えたそうです。それでも過去問を3周した結果、本番は学科45点、日本FP協会の実技82点で合格しています。
※ここで紹介する佐藤さんの体験は、複数の学習者の声をもとに構成した架空のケースです。
合格後、佐藤さんは社内で住宅ローンや保険の相談を受ける機会が増えたといいます。この記事では佐藤さんの学習記録を交えながら、過去問の入手先、何年分・何周解くかの目安、法改正への対処、団体別の実技対策、直前2週間の使い方を順に紹介します。
CBT移行でFP2級の過去問事情はどう変わったか

2025年4月から本試験問題は公開されなくなった
FP2級は2025年4月からCBT方式に完全移行しました。CBTは全国のテストセンターでパソコンに解答する形式で、受験日と会場を自分で選べます。その一方で、出題された問題は持ち帰りができず、ペーパー試験のように試験後に問題と模範解答が公表される仕組みはなくなりました。最後のペーパー試験は2025年1月実施分で、日本FP協会や金融財政事情研究会(きんざい)が公開してきた過去問もこの回までとなります。
試験の骨格は変わっていません。学科は60問の四肢択一で試験時間は120分、36点以上で合格です。実技は団体ごとに科目が分かれ、日本FP協会は100点満点で60点以上、きんざいは50点満点で30点以上が合格基準となっています。出題範囲もライフプランニング・リスク管理・金融資産運用・タックスプランニング・不動産・相続事業承継の6分野で、ペーパー時代と同じです。
紙時代の過去問がCBTでも通用する理由
FP2級の学科は、同じ論点が形を変えて繰り返し出題される傾向が強い試験です。たとえば住宅ローン控除の適用要件や、小規模宅地等の特例の限度面積は、ペーパー時代に何度も問われてきました。CBTになっても出題基準そのものは変わっていないため、過去問で論点の出方に慣れておく効果は今も大きいままです。
佐藤さんも最初は「CBTなら過去問は意味がないのでは」と考えていました。実際にCBT対応の模試を解いてみると、選択肢の言い回しが違うだけで、聞かれている知識は過去問で見たものが大半だったそうです。ただし紙の過去問には、法改正で正解が変わった問題が混ざっている点に注意が必要です。この対処法は後半の章で取り上げます。
過去問はどこで手に入る?入手先5つの使い分け
FP2級の過去問を入手できる場所は大きく5つあります。無料のものと有料のものがあり、目的によって向き不向きがはっきり分かれます。
| 入手先 | 費用 | 収録範囲 | 向いている使い方 |
|---|---|---|---|
| 日本FP協会の公式サイト | 無料 | 学科・実技(資産設計提案業務)の試験問題と解答 | 協会で実技を受ける人の本番形式演習 |
| きんざいの公式サイト | 無料 | 学科・実技(個人資産相談業務など)の試験問題と解答 | きんざいで実技を受ける人の本番形式演習 |
| 市販の過去問題集 | 2,000円前後 | 直近数回分の問題と詳しい解説 | 1周目の解説読み込み・法改正の確認 |
| CBT対応の予想模試 | 2,000円前後 | CBT形式の模擬問題 | 画面での解答と時間配分の確認 |
| 過去問サイト・アプリ | 無料〜数百円 | 分野別に整理された過去問 | 通勤時間などスキマ時間の反復 |
公式サイトの過去問は、日本FP協会の試験情報ページときんざいのFP技能検定ページから確認できます。無料で本番そのものの問題を解けますが、解説は付いていません。正誤だけでは理由が分からず、独学の1周目には負担が大きいのが難点です。そこで1周目は解説付きの市販問題集を使い、公式PDFは2周目以降の本番形式演習に回すと効率よく分担できます。
CBT対応の予想模試は、パソコン画面での解答に慣れる目的で1〜2回分あれば足ります。CBTでは問題文を画面で読み、計算過程は配布されるメモ用紙に書くため、紙と同じ感覚で解けるとは限りません。過去問サイトやアプリは手軽ですが、古い年度の問題が中心のものもあります。収録年度を確かめたうえで、スキマ時間の復習用と割り切って使うのが安全です。
何年分・何周解く?周回ごとの目的を決めた演習プラン

目安は紙試験6回分を3周
過去問の量は、学科・実技ともにペーパー試験の直近6回分を目安にすると扱いやすくなります。ペーパー時代のFP2級は年3回実施だったため、6回分で約2年です。学科だけで360問になり、主要な論点はほぼ一巡します。これより古い回は法改正の影響を受けた問題が増えるため、時間に余裕がある場合の追加演習と考えて構いません。
周回数は3周が基本です。1周で終えると「解説を読んで分かった気になる」段階で止まり、本番で同じ論点を別の聞き方で問われたときに対応できません。佐藤さんの場合、1周目の正答率は52%でしたが、2周目で68%、3周目で81%まで上がりました。周回ごとに目的を変えることで、同じ問題からでも得られるものが変わります。
1周目:解けなくていいから解説を読み込む
1周目の目的は、論点の全体像をつかむことです。テキストを一通り読み終えた直後に始め、5分考えて答えが出なければ解説に進みます。正解した問題も、ほかの3つの選択肢がなぜ誤りなのかを確認してください。四肢択一は1問で4つの知識を確かめられるため、選択肢ごとに正誤の理由を言えるかが理解度の目安になります。
2周目:分野別の正答率を記録する
2周目からは、6分野それぞれの正答率を記録します。FP2級の学科は分野ごとに10問ずつ出題されるため、どの分野で点を落としているかが数字で見えやすい試験です。目標は全分野で6割以上、得意分野で8割以上です。正答率が5割を切る分野があれば、問題を解き進める前にテキストの該当章を読み直したほうが結果的に早く伸びます。
3周目:時間を計って本番形式で解く
3周目は、1回分60問を120分で通して解きます。本番では1問あたり2分が目安ですが、計算問題に時間を取られて後半が駆け足になる人が少なくありません。見直しの時間を残すには、80分前後で一通り解き終えるペースを身につけておくと安心です。仕上げとしてCBT対応模試を1回解き、画面での解答でも同じペースを保てるかを確かめておきましょう。
法改正で正解が変わる問題の見分け方
紙の過去問を使うときに最も注意したいのが法改正です。FP2級は税制・社会保険・相続など制度改正の多い分野を扱うため、2年前の正解が今の正解とは限りません。試験には「法令基準日」が設けられており、どの時点の法令で出題されるかが決まっています。CBTでは試験の実施期間ごとに基準日が定められているので、受験予定の時期に当てはまる基準日を公式サイトで確かめておきましょう。
改正の影響を受けやすい論点は、ある程度決まっています。所得税の各種控除額、住宅ローン控除の借入限度額や控除期間、贈与税の非課税特例、公的年金の支給額や保険料、iDeCoの拠出限度額などです。NISAは2024年に制度が大きく変わったため、それ以前の過去問に出てくるNISAの問題は解説ごと古くなっています。
見分け方は3ステップで足ります。過去問題集の発行年と法令基準日を確認し、解説に「改正により現在は○○」といった注記がないかを見ます。問題が古い場合は、手元のテキストの最新版で該当箇所の数字を照合してください。佐藤さんは、改正で正解が変わった問題に付箋を貼り、3周目では解かずに飛ばしていました。古い数字を覚え直す時間を省けたことが、学習時間を150時間に収められた理由の一つだったそうです。
学科と実技は別物|団体別の過去問の使い方
FP2級の実技は、日本FP協会ときんざいのどちらで受けるかによって科目も形式も異なります。学科は両団体で共通の問題ですが、実技の過去問は受験する団体のものだけを解けば十分です。申込み前に団体を決めておくと、過去問選びで迷わずに済みます。
学科:分野横断の計算問題を優先する
学科で差がつきやすいのは計算問題です。退職所得の計算、不動産の建ぺい率・容積率、相続税の基礎控除や法定相続分などは、数字を入れ替えて繰り返し出題されてきました。計算問題は公式を覚えていれば確実に得点でき、ひっかけの余地も小さいため、過去問の中でも優先して反復する価値があります。
実技:日本FP協会「資産設計提案業務」
日本FP協会の実技は「資産設計提案業務」の1科目で、40問を90分で解きます。キャッシュフロー表の計算、係数表を使った資金計算、保険証券の読み取りなど、出題パターンがかなり固定されているのが特徴です。佐藤さんは過去問6回分のうち、係数計算とキャッシュフロー表の問題だけを抜き出して5回ずつ解きました。本番の82点はこの反復の成果だったと振り返っています。
実技:きんざい「個人資産相談業務」「生保顧客資産相談業務」
きんざいの実技は「個人資産相談業務」と「生保顧客資産相談業務」から選び、どちらも事例を読んで設問に答える形式です。試験時間は90分で、50点満点中30点以上が合格基準となります。長めの事例文から必要な数字を拾う力が求められるため、時間を計り、事例の読み込みにかかった時間を記録しながら解くのが効果的です。保険業界で働く人は生保顧客、それ以外の人は個人資産を選ぶケースが多く見られます。
間違いノートと分野別正答率で弱点を潰す

何周しても点数が伸びない人に共通するのは、間違えた理由を記録していないことです。同じ問題を同じ理由で間違え続けるため、周回数のわりに正答率が上がりません。間違いノートといっても、問題文を書き写す必要はありません。問題番号・分野・間違えた理由・正しい知識の4項目を1行で書けば十分です。
間違えた理由は「知識不足」「うっかりミス」「計算ミス」「法改正」の4種類に分類すると対策が立てやすくなります。知識不足ならテキストへ戻り、うっかりミスなら問題文の「適切」「不適切」に丸を付ける習慣をつけるといった具合です。佐藤さんのノートを集計すると、2周目の誤答の約4割が「不適切なものを選べ」の読み違いでした。この癖に気づいてからは、問題文の指示に印を付けるだけで学科の点数が5点ほど伸びたそうです。
分野別正答率は、スプレッドシートや手帳に周回ごとに記録しておくと推移が一目で分かります。6分野のうち最も低い分野に翌週の学習時間の半分を割り当てるといった形で、記録を次の行動に結び付けるのがコツです。全体の正答率だけを見ていると、得意分野の高得点に弱点が埋もれてしまいます。
試験直前2週間の過去問スケジュール
CBTは自分で受験日を選べるため、日程から逆算した計画を立てやすい試験です。直前2週間は新しい教材に手を広げず、これまで解いてきた問題と間違いノートに絞ります。佐藤さんが実際に使ったスケジュールを、日数ごとに整理すると次のとおりです。
- 14〜11日前:学科を分野別に解き直し、正答率が6割未満の分野をテキストで補強する
- 10〜7日前:実技の過去問を1日1回分ずつ、時間を計って解く
- 6〜4日前:CBT対応模試を学科・実技1回ずつ解き、時間配分を最終確認する
- 3〜2日前:間違いノートだけを見返し、計算公式と頻出の数字を覚え直す
- 前日:新しい問題は解かず、ノートの「法改正」「うっかりミス」の項目を確認して早めに寝る
このスケジュールのポイントは、6〜4日前に模試を入れて本番と同じ条件を一度経験しておくことです。模試の点数が合格ラインを下回っても、残り数日で間違いノートに戻れば十分に立て直せます。逆に前日まで新しい問題を解き続けると、解けない問題に動揺して自信を失いやすくなります。
FP2級の過去問対策でよくある質問
過去問だけで合格できますか?
テキストで基礎を一通り学んでいれば、過去問中心の学習で合格を狙えます。ただし問題演習だけでは、なぜその答えになるのかという理屈が抜け落ちやすく、聞き方を変えられると対応できません。解説付きの問題集を使い、分からない論点はテキストに戻る往復を前提にしてください。勉強時間の配分についてはFP2級の独学勉強法の記事で詳しく紹介しています。
過去問を始めるタイミングはいつですか?
テキストを1周読み終えた時点が目安です。全分野を読み終えてからでは時間が足りない人は、1分野読み終えるごとにその分野の問題を解く方法でも構いません。佐藤さんは学習開始から5週目に演習へ移り、残りの約3か月を問題演習に充てました。インプットとアウトプットの比率は、おおむね3対7を意識すると演習量を確保できます。
FP3級の過去問も解いたほうがいいですか?
3級の知識に大きな不安がある場合を除き、2級の過去問を優先してください。出題範囲は3級とほぼ同じですが、2級は論点がより細かく、計算も複雑になります。3級合格から時間が空いている人は、2級の1周目で分からなかった分野だけ3級のテキストで復習すると効率的です。難易度や合格率の推移はFP2級の難易度と合格率の記事にまとめています。
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FP2級はCBT移行で本試験問題が公開されなくなりましたが、過去問対策の価値は変わっていません。ペーパー試験の直近6回分を3周し、周回ごとに「解説の読み込み」「分野別正答率の記録」「時間を計った本番形式」と目的を変えるのが基本の流れです。仕上げにCBT対応模試で画面での解答に慣れておけば、形式の違いに戸惑うこともありません。
紙の過去問を使うときは、法令基準日を確かめて改正で正解が変わった問題を見分けてください。実技は受験する団体の過去問だけに絞り、間違いノートで弱点を潰していけば、佐藤さんのように4か月前後での合格も十分に狙えます。まずは今日、公式サイトから直近1回分の過去問をダウンロードし、時間を計らずに1問目から解いてみてください。