基本情報技術者の参考書おすすめを探していると、「かやのき先生」「キタミ式」「出るとこだけ!」など候補が多すぎて手が止まりがちです。2023年の制度変更で午前・午後が科目A・科目Bに再編され、旧制度の情報もネット上に混在しています。この記事では科目A・科目B別に、目的とレベルに合う1冊を選べるよう整理しました。
営業職からIT企業への転職を目指した佐藤さん(28歳)は、最初に評判だけでキタミ式を買いました。ところが科目Bの擬似言語対策が手薄なまま受験し、1回目は科目Bが520点で不合格です。教材を科目別に組み直した2回目は、科目A 720点・科目B 665点で合格しました。
※ここで紹介する佐藤さんの体験は、複数の学習者の声をもとに構成した架空のケースです。
基本情報技術者の参考書を選ぶ3つの基準

書店のIT資格コーナーには10冊以上の対策本が並んでいます。どれも合格を目指せる内容ですが、自分の状況に合わない1冊を選ぶと遠回りになりかねません。購入前に次の3点を確認しておくと、買い直しの失敗を防げます。
最新の年度版・新制度対応かを確認する
現行の試験は科目A(60問・90分)と科目B(20問・100分)の2部構成です。科目Bはアルゴリズムとプログラミングが16問、情報セキュリティが4問で、擬似言語を読む力が問われます。2022年以前の本は旧午後試験向けで、現在は出題されない表計算やC言語などに紙幅を割いています。
表紙に「令和08年」「2026年版」などの年度表記があり、科目A・科目B対応と明記された本を選びましょう。試験の概要や出題範囲の最新情報は、IPA(情報処理推進機構)の基本情報技術者試験ページで確認できます。
科目A用か科目B用か、カバー範囲を見る
「オールインワン」とうたう本でも、科目Bの解説は数十ページにとどまるケースがあります。科目Aの知識系分野と科目Bのアルゴリズムでは、求められる力がまったく違います。総合テキスト1冊で済ませるより、科目A用テキストと科目B専用書を組み合わせるほうが合格に近づけます。
今の知識レベルに合う難易度を選ぶ
IT未経験者が網羅性の高い硬派な本から入ると、2進数やネットワークの章で挫折しやすくなります。反対に、実務経験者がイラスト中心の入門書を選ぶと、物足りなさを感じて時間を浪費しがちです。ITパスポートを持っているか、プログラミング経験があるかが判断の目安になります。
あわせて読みたい基本情報技術者の難易度と合格率|2年連続低下の理由を解説基本情報技術者の難易度と合格率の推移から、必要な学習量の目安をつかめます
科目A対策におすすめの参考書4選
科目Aはテクノロジ系・マネジメント系・ストラテジ系から60問が出題され、1,000点満点中600点以上が合格ラインです。用語の理解と計算問題が中心になるため、図解の多さと網羅性のバランスで選ぶのがコツといえます。4冊の特徴を表にまとめました。
| 書名 | 出版社 | 向いている人 | 科目Bの扱い |
|---|---|---|---|
| かやのき先生の基本情報技術者教室 | 技術評論社 | IT未経験・文系出身 | 基礎のみ(専用書と併用) |
| キタミ式イラストIT塾 | 技術評論社 | 図解で理解したい人 | 演習は少なめ |
| 合格教本 | 技術評論社 | 情報系出身・実務経験者 | 網羅的に解説 |
| 出るとこだけ!テキスト&問題集 | 翔泳社 | 短期合格を狙う社会人 | 頻出論点に絞って解説 |
かやのき先生の基本情報技術者教室(技術評論社)
長年「栢木先生」の名で親しまれてきた定番書で、近年の版から「かやのき先生」表記に変わりました。会話形式とイラストで用語を噛み砕いて説明し、各章末には過去問が付いています。令和07年版は590ページを超えるボリュームで、科目A・科目Bを1冊で一通り学べる構成です。
IT未経験者が最初に手に取る1冊として、最も無難な選択肢といえます。価格は1,700円台で、技術評論社の情報処理技術者試験シリーズ一覧から最新版の内容を確認できます。科目Bの演習量は専用書に及ばないため、後述の科目B対策本と併用してください。
キタミ式イラストIT塾 基本情報技術者(技術評論社)
きたみりゅうじ氏によるイラスト解説がほぼ全ページに入り、読み物感覚で最後まで進めやすい1冊です。CPUの動きやデータベースの正規化など、文字だけでは想像しにくい仕組みを絵で理解できます。一方で網羅性はやや控えめという評価が多く、問題演習は別の教材で補う必要があります。
佐藤さんが1回目に失敗したのは、キタミ式だけで科目Bに臨んだことが原因でした。用語の理解には役立ったものの、擬似言語のトレース練習が足りず、本番では時間切れになっています。キタミ式は「かやのき先生」の副読本や、文系出身者の最初の入口として使うのが向いています。
基本情報技術者 合格教本(技術評論社)
出題範囲をほぼ網羅した辞書的なテキストで、説明は他の入門書より硬めです。情報系の学部出身者や、ITパスポート合格後すぐに挑戦する人なら、無駄なく知識を積み上げられます。分からない用語が出たときに引く「辞書」として、入門書と一緒に手元に置く使い方も効果的です。
出るとこだけ!基本情報技術者 テキスト&問題集(翔泳社)
矢沢久雄氏が執筆し、出題頻度の高い論点と初学者がつまずく箇所に絞り込んだテキストです。2026年版はA5判424ページ・税込1,848円で、科目A・科目Bの両方に対応しています。学習時間が限られる社会人が、2〜3か月で一通り仕上げたいときに選びやすい構成です。
次の2027年版は2026年11月18日に発売予定と案内されています。最新の発売情報や目次は、翔泳社の書籍ページで確認してから購入すると安心です。
科目B対策におすすめの参考書3選
科目Bは20問すべてが必須解答で、そのうち16問をアルゴリズムとプログラミングが占めます。擬似言語で書かれたプログラムを1行ずつ追い、変数の値の変化を正確に書き出す「トレース」が得点の鍵です。知識の暗記だけでは解けないため、手を動かす演習量を確保できる教材を選びましょう。
かやのき先生の基本情報技術者 科目B アルゴリズム教室(技術評論社)
「かやのき先生」シリーズの科目B特化版で、配列・ループ・再帰といった基本構造からやさしく解説しています。プログラミング未経験でも、変数の値を表に書き出す手順から順番に練習できる点が強みです。科目A用に同シリーズを使っている人なら、説明の語り口がそろうため移行もスムーズです。
出るとこだけ!基本情報技術者[科目B]予想+過去問題集 第2版(翔泳社)
2026年9月に発売された第2版で、過去に公開された問題と予想問題を解説付きで収録しています。テキストで基本構造を学んだあとの「実戦演習」用として位置づけるのが効果的です。佐藤さんは2回目の受験前にこの問題集を2周し、1問あたりの解答時間を7分から4分台まで縮めました。
基本情報技術者試験ドットコム「過去問道場」(無料Webサイト)
書籍ではありませんが、科目B対策では外せない無料の演習サイトです。過去問道場では過去問や公開問題を分野別・ランダムに出題でき、スマホからも解けます。通勤中に科目Aの用語問題を回し、自宅では紙の問題集で科目Bのトレースに集中する使い分けが定番です。科目Bの具体的な勉強法は基本情報技術者の科目B対策でまとめています。
タイプ別|おすすめの参考書の組み合わせ

参考書は1冊で完結させるより、科目A用と科目B用を1冊ずつ組み合わせるのが効率的です。予算は2冊で3,500〜4,000円程度に収まります。今の知識レベル別に、相性のよい組み合わせを紹介します。
IT未経験・文系出身の人
科目Aは「かやのき先生の基本情報技術者教室」、科目Bは同シリーズの「科目B アルゴリズム教室」が第一候補です。同じ著者の説明で統一でき、用語の言い回しで混乱せずに済みます。図解でも理解しにくい章だけ、キタミ式を図書館で借りて補う方法もあります。学習時間は150〜200時間、期間にして3〜6か月を見込んでおくと安心です。
ITパスポート合格者
ストラテジ系・マネジメント系の基礎はすでに身についているため、「出るとこだけ!」のテキスト&問題集で科目Aを短期間で仕上げられます。浮いた時間は科目Bに回し、予想+過去問題集で演習量を確保しましょう。佐藤さんもこのパターンに切り替え、2回目は約2か月半の学習で合格しています。
情報系学部出身・実務経験者
「合格教本」で抜けている知識だけを拾い、過去問道場で科目Aの正答率を8割まで上げるのが近道です。科目Bは、プログラミング経験があっても擬似言語の表記ルールに慣れるまで時間がかかります。予想+過去問題集を1周して、20問を100分で解き切る時間配分の感覚をつかんでおきましょう。
参考書で合格するための使い方と学習スケジュール
参考書を買って安心し、1ページ目から丁寧に読み込んだ結果、途中で止まってしまう人は少なくありません。この試験は科目A・科目Bの両方で600点以上が必要なので、片方に偏らない進め方が求められます。3か月で合格を目指す場合のスケジュール例は次のとおりです。
- 1か月目:科目Aテキストを1周する(理解度6割で先へ進む)。並行して科目B本の基本構造の章を読む
- 2か月目:過去問道場で科目Aを分野別に演習する。科目Bは毎日2〜3問のトレース練習を続ける
- 3か月目:科目Bの予想問題を時間を計って解き、苦手分野だけテキストに戻って復習する
コツは、テキストを完璧に読み込もうとしないことです。1周目は分からない箇所に付箋を貼る程度で進め、過去問で間違えた論点だけテキストに戻ると効率が上がります。CBT方式で受験日を自分で選べるため、学習開始時に受験日を先に予約しておくとペース配分が崩れにくくなります。
あわせて読みたい基本情報技術者試験を独学合格した勉強法【文系4ヶ月の体験談】文系から4か月で基本情報技術者に独学合格した勉強法とスケジュールを紹介しています
参考書を買うタイミングと注意点
この試験の参考書は、毎年11〜12月ごろに翌年度版が発売されます。2026年10月現在は令和08年版(2026年版)が最新で、令和09年版(2027年版)が順次出始める時期にあたります。受験予定日に合わせて、どちらを買うべきか判断しましょう。
年度版の切り替え時期は受験日で判断する
年内から2027年1月ごろまでに受験するなら、今の最新版で問題ありません。年度版の違いは新しい公開問題の追加や用語の更新が中心で、学ぶ内容の大半は共通しています。2027年春以降に受験する予定なら、11月以降に出る新年度版を待つほうが最新の出題傾向に対応できます。
中古本・フリマで買うときの注意
フリマアプリでは参考書が定価の半額程度で出品されていますが、2022年以前の版は旧制度向けのため避けてください。書き込みの多い問題集は、解き直しに使えない点にも注意が必要です。テキストは中古、問題集は新品という買い分けなら、費用を抑えながら最新傾向にも対応できます。
電子書籍と紙の本の使い分け
電子書籍は通勤中の読み物として便利ですが、科目Bのトレース練習には向いていません。変数の値を書き込みながら解くため、紙の問題集かノートを用意したほうがはかどります。科目Aのテキストは電子版、科目Bの問題集は紙という組み合わせも検討してみてください。
基本情報技術者の参考書に関するよくある質問
参考書1冊だけで合格できますか?
IT経験者なら、総合テキスト1冊と過去問道場の組み合わせで合格する人もいます。ただし未経験者の場合は科目Bの演習量が不足しやすく、1冊だけでは対策しきれないケースが目立ちます。最低でも科目B専用の問題集を1冊追加しておくのがおすすめです。
参考書と通信講座はどちらがいいですか?
自分でスケジュールを立てて進められる人なら、参考書2冊で十分に合格を狙えます。科目Bのアルゴリズムが独学では理解できない、質問できる環境がほしいという人には通信講座が向いています。講座ごとの違いは基本情報技術者の通信講座比較で詳しく比べています。
ITパスポートの参考書は流用できますか?
ストラテジ系・マネジメント系の基礎知識は重なる部分がありますが、計算問題や技術的な深さは一段上がります。科目Bのアルゴリズムにはまったく対応していないため、流用は用語の復習程度にとどめましょう。新制度に対応した最新版のテキストを1冊用意するのが確実です。
プログラミング経験がなくても科目Bは解けますか?
解けます。科目Bで使われるのは試験専用の擬似言語で、特定のプログラミング言語の知識は前提になっていません。得点を左右するのは、変数の値の変化を表に書き出して追う練習をどれだけ積んだかです。アルゴリズム教室のような入門書から始めれば、未経験でも1〜2か月で基本問題を解けるようになります。
あわせて読みたい
応用情報技術者を独学で合格する勉強法とスケジュール応用情報技術者試験を独学で突破したい人向けに、必要な勉強時間の目安から4ヶ月の学習スケジュール、科目A・科目Bの対策法、実際に使った教材3選までを合格者の体験を交えて解説します。科目A76点・科目B68点で一発合格した学習法と、2026年度からのCBT移行など試験制度変更点もあわせて紹介します。
応用情報技術者の難易度と合格率を徹底解説応用情報技術者試験の合格率はIPA公式データで直近8回22〜28%台、平均約25%。基本情報技術者より一段難しい理由を、科目A・科目Bの出題形式や高度試験との比較から整理します。独学で必要な勉強時間の目安、5ヶ月で合格した社会人の挫折と克服法、2026年度のCBT化も解説します。まとめ
基本情報技術者の参考書は、科目A用と科目B用を分けて選ぶのが合格への近道です。IT未経験なら「かやのき先生」シリーズ、ITパスポート合格者なら「出るとこだけ!」、経験者なら「合格教本」を軸にすると選びやすくなります。
どの組み合わせでも、科目Bは擬似言語のトレース練習を毎日続けることが欠かせません。年度版の切り替え時期と受験日を照らし合わせ、自分に合う参考書をそろえて学習をスタートしましょう。